介護「休暇」の制度はあるが、給付の制度は未整備
次に、「介護休暇」の制度です。介護休業給付金のところで述べた「介護休業」とは別に取得できます。
これは、家族が2週間以上にわたって常時介護を必要とする状態にある場合に、介護のために取得できる休暇です。
対象となる「家族」の範囲と「常時介護を必要とする状態」の意味は、介護休業制度と同様です。
介護休暇は、1年度につき、家族1名あたり最大5日間取得できます。介護の対象となる家族が2名以上の場合は年間最大10日間取得できるということです。
また、1日単位だけでなく、時間単位で取得することもできます。
介護休暇の活用が想定されているケースは、家族の世話だけでなく、通院等の付き添いや、介護サービスの手続の代行、ケアマネジャーとの短時間の打ち合わせを行うといったケースです。
介護休業制度と同じく、法律上の制度なので、勤務先の就業規則に規定されているかいないかにかかわらず、取得が認められています。
労働者から申し出があった場合には、勤務先は拒否できません。また、介護休暇の取得を理由として不利益な扱いをすることも禁じられています。
しかし、介護休業と異なり、有給か無給かは勤務先の規定によります。また、以下の労働者は対象外です。
【介護休暇の対象とならない労働者】
・入社6ヵ月未満の労働者
・1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
これらのことは、特に、非正規雇用の労働者にとっては、厳しいといわざるを得ません。
公的制度の速やかな拡充が求められている
今後、高齢化の進行により、仕事と家族の介護の両立の問題はさらに深刻化することが予想されます。
そんななかで、上述のように手取り平均16万円で「食べていくのがやっと」「自分自身を養うのが精一杯」の非正規労働者にとっては、過酷な負担が発生することになります。
せめて、介護休業給付金については、最低でも手取りの満額を保障するとか、介護休暇の場合にも給付金を受け取れるとかの対応をとらなければ、取り返しのつかないことになりかねません。
この「就職氷河期世代・非正規の親の介護」の問題は、「自己責任」「自助努力」で片づけてはならない問題です。
なぜなら、就職氷河期世代の人々は、他の世代よりはるかに過酷な境遇におかれていたうえに、時の政府の政策もあいまって、過剰なまでに「自己責任」「自助努力」を押し付けられてきているからです。
国会・政府には、雇用形態を問わず、介護と仕事を無理なく両立できる制度を速やかに整備することが求められています。また、国民一人一人にとっても、社会全体の責任として解決するよう、政治部門にはたらきかけることが求められています。
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