ダイレクト・レンディング戦略が、資本構成上、最も低リスク
リーマンショック以降の資本規制は、この動きを加速させた一因です。商業銀行が比較的に強いと言える欧州やアジアに比べて、米国はダイレクト・レンディング市場が成熟していると言えるでしょう。
ダイレクト・レンディング戦略の多くは第一抵当、第二抵当で構成される資産担保付きのシニアローンです。その多くはプライベート・エクイティ(以下、PE)会社がエクイティ出資をしている未上場企業です。こうした企業が、買収や成長投資をするために資金調達をする際に、デット部分を担うのが私募ローンであるダイレクト・レンディング戦略です。
また、PE会社がエクイティ出資をしている企業であるということは、万が一企業業績が減速した場合にも、PE会社から経営陣・企業運営への改革支援がされることを意味します。ダイレクト・レンディング戦略は、プライベート・クレジット戦略のなかでも資本構成上、最もリスクが低い戦略です。
そのため現在のような景気の先行きが不透明な環境下において、優良企業へのシニア私募ローンであるダイレクト・レンディング戦略は、非常に魅力的な投資戦略であると言えるでしょう。
とりわけ、金利上昇によってパブリック市場で債券価格が下落したり、ボラティリティが上昇する局面では、魅力的なリスク調整後リターンが期待できる投資戦略です。
基本ステップをおさえて、堅実な投資を
ですが当然ながら、投資の際にはしっかり検討することが大切です。PE会社が出資をしている融資先企業であるかどうか? レバレッジ水準、クレジット審査基準、融資条項や特約、デフォルト率、回収率などはどうか? 各項目を分析し、リスクを総合的に判断することが重要なのは、言うまでもありません。
*Preqin 2022年9月時点(日本円は$1=134円換算)
シデナム 慶子
LUCAジャパン株式会社 代表取締役CEO・共同創業者