クラファンで1,266万円の支援を受け、相次ぐ資金調達に成功
起業を決意した中西さんは、自身の衝撃的なおもらし体験とともに「排泄予測システムを開発して社会課題を解決したい」と、その決意を周囲に伝えます。文系出身で、開発経験も知識も資金もない中西さんでしたが、その決意にかつての職場の仲間や友人たちが共感。会社をアメリカで立ち上げ、DFreeのプロトタイプ(試作品)は日本にいる中西さんの仲間がボランティアで開発します。排泄の予測システム自体世界初の試みで、医学の分野でも研究データはほとんどなく、自身の排泄からデータを取りながら試行錯誤を続けました。
2015年3月、ニッセイ・キャピタル『NCCベンチャーグランプリ2015』を受賞したのを機に、5,000万円の資金調達に成功します。さらに、同年4月にクラウドファンディングに挑戦したところ、わずか3ヵ月で目標額を達成。345人から1,266万9千円の支援を得ることに成功します。その反響は想像以上で、DFreeに期待する介護施設などから問い合わせが殺到したほか、企業やベンチャーキャピタルからも注目を集め、総額5億円以上もの資金を調達しました。その後、2016年2月にNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が実施する『研究開発型ベンチャー支援事業/シード期の研究開発型ベンチャーに対する事業化支援』に採択が決定。最大で7,000万円の助成金を得ます。さらに、2016年6月、2017年10月と相次いで5億円の資金調達に成功します。
豊富なリソースをもつ大企業との連携も早い段階から進めます。アクセンチュア、CTCテクノロジーと協業することで開発が加速し、リヴァンプとの協業により介護施設でのトライアルも次々とスタート。国内最大手の介護施設や地方自治体、海外では世界最大級の介護施設など、国内外の50施設で実証実験を行ったことも話題となりました。
開発当初、排便と排尿の予測を目標に掲げていた同社ですが、社会では排尿に課題を抱えている人のほうが多く、データが取りやすいため、まずは排尿に絞ったシステム開発を進めることに。2017年4月に見事、世界初となる排泄予測サービス「DFree Professional」のリリースが実現しました。