起業志望の男性、「道の真ん中で大便を漏らす」絶望体験で“大人の失禁問題”に気づく…⇒世界初の「排泄予測システム」爆誕

起業志望の男性、「道の真ん中で大便を漏らす」絶望体験で“大人の失禁問題”に気づく…⇒世界初の「排泄予測システム」爆誕
(※写真はイメージです/PIXTA)

企業の62.3%、約174万社*が赤字を抱え苦境に立たされている一方、「社会課題」をビジネスの力で解決している企業はケタ違いの急成長を続けています(*国税庁「令和2年度分 会社標本調査結果について」より)。いま目の前にあふれている社会課題が、いかにあなたを成功に導くビジネスチャンスとなりうるのか。SDGsジャーナル 深井宣光氏の著書『SDGsビジネスモデル図鑑 社会課題はビジネスチャンス』(KADOKAWA)より一部を抜粋し、実際のビジネスモデルから学びましょう。

クラファンで1,266万円の支援を受け、相次ぐ資金調達に成功

起業を決意した中西さんは、自身の衝撃的なおもらし体験とともに「排泄予測システムを開発して社会課題を解決したい」と、その決意を周囲に伝えます。文系出身で、開発経験も知識も資金もない中西さんでしたが、その決意にかつての職場の仲間や友人たちが共感。会社をアメリカで立ち上げ、DFreeのプロトタイプ(試作品)は日本にいる中西さんの仲間がボランティアで開発します。排泄の予測システム自体世界初の試みで、医学の分野でも研究データはほとんどなく、自身の排泄からデータを取りながら試行錯誤を続けました。

 

2015年3月、ニッセイ・キャピタル『NCCベンチャーグランプリ2015』を受賞したのを機に、5,000万円の資金調達に成功します。さらに、同年4月にクラウドファンディングに挑戦したところ、わずか3ヵ月で目標額を達成。345人から1,266万9千円の支援を得ることに成功します。その反響は想像以上で、DFreeに期待する介護施設などから問い合わせが殺到したほか、企業やベンチャーキャピタルからも注目を集め、総額5億円以上もの資金を調達しました。その後、2016年2月にNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が実施する『研究開発型ベンチャー支援事業/シード期の研究開発型ベンチャーに対する事業化支援』に採択が決定。最大で7,000万円の助成金を得ます。さらに、2016年6月、2017年10月と相次いで5億円の資金調達に成功します。

 

豊富なリソースをもつ大企業との連携も早い段階から進めます。アクセンチュア、CTCテクノロジーと協業することで開発が加速し、リヴァンプとの協業により介護施設でのトライアルも次々とスタート。国内最大手の介護施設や地方自治体、海外では世界最大級の介護施設など、国内外の50施設で実証実験を行ったことも話題となりました。

 

開発当初、排便と排尿の予測を目標に掲げていた同社ですが、社会では排尿に課題を抱えている人のほうが多く、データが取りやすいため、まずは排尿に絞ったシステム開発を進めることに。2017年4月に見事、世界初となる排泄予測サービス「DFree Professional」のリリースが実現しました。

次ページ世界40ヵ国以上から問い合わせ殺到。名誉ある賞を次々と受賞

※本連載は、SDGsジャーナル 深井宣光氏の著書『SDGsビジネスモデル図鑑 社会課題はビジネスチャンス』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

SDGsビジネスモデル図鑑 社会課題はビジネスチャンス

SDGsビジネスモデル図鑑 社会課題はビジネスチャンス

SDGsジャーナル 深井宣光

KADOKAWA

【急成長ビジネスに学ぶ「成功法則」】 筆者はこれまで、社会課題解決に取り組む起業家、企業、自治体、NPO、国際機関、社会活動家などを対象に、900事例以上の取材・調査・研究を行ってきました。 その中でも特に注力して…

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