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知らない土地で鬱になる高齢者もいる
家族が意識しておかなければいけないのは「近い=頻回な面会」と親御さんに期待をさせてしまう点です。地元から引き離して子世帯の近隣に入居させたのに、ほとんど会いに行かないのでは親御さんの不満は募ります。
地元なら入居者だけでなく、ホームのスタッフにも知り合いがいることもあり「寂しさ」は軽減できます。知らない土地、知らない人の中で生活することのハードルの高さを十分理解して、呼び寄せた以上は面会の頻度を高く維持するようにしたいものです。
知らない土地に暮らすことで認知症が進行するケースも少なくありません。すでに認知症を発症している場合には、かかりつけ医師に必ず相談をしましょう。方言の強い地域に住んでいた場合には、言葉が通じないことでイライラする、反対にふさぎ込んで鬱になってしまう高齢者もいるようです。
緊急呼び出しに対応する「アクセスのよい場所」を選ぶ
遠方で入居した場合、家族は「緊急呼び出し」への対応は覚悟しておきましょう。病気やケガで手術や入院が必要になると家族は同意書を提出しなければなりません。一刻を争う際に、家族の誰が行くのかを事前に話し合っておく必要があります。
病気やケガなどのほかにも、急なトラブルで呼び出されることもあります。たとえば外出したまま戻ってこない、高額な買い物を次々にしてしまう、など。
高額な管理費や入居費を支払っているホームでは、弁護士の紹介までしてくれるところもありますが、成年後見人制度などを利用していなければ家族が出向いて対処しなければなりません。「仕事が忙しい」「子育てで手が離せない」と言い訳ができるものでもありません。
これら急な呼び出しへの対応のためにも、交通のアクセスが良い場所を選ぶのは大きなメリットになります。新幹線の駅や高速道路の出口からの便は確認しておきましょう。
距離よりも大事なのは、家族が老人ホームに興味を持つ
家族の近くに住むか、遠方に住むかも大切ですが、もっとも大事なのは家族が「老人ホームでの生活」に興味を持ってあげることかもしれません。親御さんがホームのどんなところを気に入っているか、不満をもっていないかを、面会に行かれないのであれば電話や手紙で聞いてあげましょう。共感や励ましによって親御さんの気持ちは上りも下がりもします。お孫さんに「かっこいい場所だね」と言われたことで、「孫に褒められた」と老人ホーム暮らしを誇りにされる人もいます。
親御さんの要望や不満を老人ホーム側に伝えるのも家族の役割です。介護施設では自治体の「有料老人ホーム設置運営指導指針」に定められている「運営懇談会」が定期的に開かれます。ホームの職員、入居者や家族等の代表が集まり、ホームの運営について話し合う場です。
運営状況を公開して、経費が適切に使用されているか、運営に問題はないか、サービスの現状などの説明が行われますが、もちろん家族が要望や不満を訴求することもできます。コロナ禍は書面開催でしたが、今後は対面の会合が実施されると予測されます。施設長の考え方や職員の雰囲気を感じ取るためにも、できる限り出席して親御さんが快適に自分らしく過ごせるようサポートしてあげてほしいと思います。
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