不登校の子どもの数は年々増えています。そこで今回は、不登校のお子さんを持つ親御さんや、これから不登校になるかもしれないと心配されている親御さんの悩みを解決するべく、元教員で公認心理師/チャイルドカウンセラーのめいさんに、不登校の原因や不登校の子どもへの親の対応などについて、お話を伺いました。
「子どもが不登校」になったら、親はどうすればいいのか?【公認心理師が解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

不登校の子どもにやってはいけない5つの対応

NG対応①:何もしない

専門機関などから「様子を見ましょう」といわれたときに、「何もしない」ことと誤解されるケースがありますが、何もしないと状況も変わらないので、お子さんとかかわりを持つようにしましょう。

 

NG対応②:学校などの関係機関と連携しない

不登校の原因が家庭にある場合、家庭の中から気づくのは難しいことがあります。客観的な専門家の視点を取り入れるためにも、関係機関とぜひ連携して取り組んでください。

 

NG対応③:親や先生など大人の願いだけで行動する

たとえば、「高校までは必ず行ってほしい」という親の願いをもとに行動すれば、子どもの想いは置き去りにされてしまいます。親も視野を広く持って、子どもの強みを見つける時間にしていきましょう。

 

NG対応④:親が察して子どもより先に動く

お子さんが要領を得ない様子で何かをやっているのを見ると、親としてはついつい自分でやってしまおうと思ってしまいがちです。しかし大人がやってしまうと、子どもが困難に立ち向かう力や、失敗しても先に進む力を育てることができません。お子さんがものごとに取り組むのを、必要ならアドバイスなどをあげながら、見守ってあげてください。

 

NG対応⑤:感情の起伏が激しい

子どもは親の感情に敏感です。親の感情の起伏が激しいと、子どもの心が安定しません。お子さんに余裕をもって接することができるよう、親御さんも心にゆとりをもってリラックスすることを心がけるとよいでしょう。

 

不登校の子どもに親ができる4つこと

①子どもの名前をたくさん呼ぶ

ひとつは、親子の関係をよくするために、お子さんの名前をたくさん呼んであげることです。人間にとって一番好きな言葉とは自分の名前だといわれています。そこで、子どもの名前をたくさん呼んであげること、さらに広げて子どもの好きなものに対して親も興味を持ち、一緒に会話を盛り上げていくことが効果的です。

 

②肯定感をあげるような言葉掛けをする

次に「コンプリメント」と呼ばれる肯定感をあげるような言葉掛けをしましょう。「あなたは人を笑顔にする力があるね」とか「手伝ってくれてありがとう」「助かったよ」など、自分は人のために役立てるのだと、自信をつけてあげられるような言葉をたくさん掛けます。自己肯定感が上がると、少しくらい失敗しても大丈夫だと思えるようになります。

 

③簡単なお手伝いで子どもに達成感を与える

コンプリメントするために、家庭でのお手伝いなど、成果を得られる機会を作ります。ポイントは、本人が得意なことや、次もまたやりたいと思えるようなものにすることです。たとえば靴磨きや洗濯物干しなど、簡単なお手伝いでいいので、達成感を得られる場を作ってあげましょう。

 

④家庭内で心理的安全性を与える

また、子どもが家庭内に居場所があるという心理的安全性を与えてあげることも大切です。子どもの呼びかけには1度で反応するよう心がける、子どもの小さな変化に気づいて、認める声かけをする、 子どもの写真を部屋に飾るなどを実践してみてください。

 

不登校のための支援・サポート機関

①教育センター

学校の上にある組織で、校長先生を通じて学校と連携してもらい、教育センターでの教育相談を受けることができます。

 

②適応指導教室

学習ができ、学校の代わりとなる場所です。適応指導教室へ行くと学校で出席扱いとなります。

 

③医療機関

精神科や、発達障害に詳しい小児科に行くと、いろいろな情報や知識を得ることができます。また、自治体から必要であると判断された場合 、申請を出すと受給者証がもらえて、放課後等デイサービスを利用できます。

 

④フリースクール

家庭と学校以外の第三の居場所として、不登校の子どもたちが通える学校のような場所です。フリースクールへ行くことで出席扱いにしてもらえる仕組みもできつつあります。

 

⑤児童相談所

子どもの発達に関する窓口で相談できます。

 

親が明るく過ごすことが大切

インターネットなどで調べてみると、昔不登校だったけど今はこんなことをやっていますといった不登校卒業生の情報がたくさんあります。不登校だからといって、悲観することはありません。親御さんの不安な気持ちはお子さんに共鳴します。

 

逆にいうと、親御さんが明るく楽しく生活すれば、それもお子さんに共鳴するのです。親御さんが安定した気持ちでいるためには、いろいろな専門機関と連携して、正しい情報や知識を得ることが大切です。

 

お子さんが周りと違うことに不安になるかもしれませんが、みんな違って当たり前。違うことは強みになるので、お子さんが自分の強みを生かしてどんな大人になるのか、楽しみにしていただけたらと思います。

 

【話を伺ったのは】

めい/公認心理師/チャイルドカウンセラー

小学校・特別支援学校に13年勤務。現在は公認心理師・チャイルドカウンセラーとして、子育てに悩むママ、パパ向けに情報を発信している。ポジティブ行動支援セミナー開催中。