老後を過剰に心配しすぎない
しかしながら、どこまでいっても得体の知れない「老後不安」という物語に脅かされ、ひたすらお金を増やそうと考え、引退したあとも節約に励み、お金を使わずにいた結果、死ぬ時に一番お金をたくさん持っていた、というのではあまりにも悲しすぎます。老後不安という物語に、過剰に怯える必要はないと思います。
少なくとも現時点で、将来の収支を予測することは可能です。特に、働いて得る収入はブレるでしょうが、年金収入というのは基本的には物価連動ですし、最も安定しているものですから、過剰に心配することはないのです。
また、介護についても前述の通り、1人600万円ぐらいを用意しておくことを心構えとしていれば、それほどひどいことにはならないでしょう。
もちろん、将来は予測できない、不確実なものであるのはその通りですが、老後を心配し、お金を増やしたいという気持ちばかりを過剰に持ってしまうことで、勧められるままに変な金融商品を買わされたり、不要な保険にたくさん入ってしまう可能性が出てきます。私はそのことの方が、老後不安よりもよほど深刻で問題は大きいと思います。
大江 英樹
株式会社オフィス・リベルタス
取締役