“ゆとりある老後”のはずが、わずか5年で「破産寸前」
O夫妻は、現在夫が66歳、妻が62歳です。2人の子どもはすでに家庭を持っており、O夫妻にとっての孫もいます。
Oさんは60歳で定年退職し、その後65歳まで嘱託で働く予定でしたが、職場になじめず悩んでいました。嘱託で働き始めて1年経ったころ、「退職金や年金を活用し、貯蓄を取崩しながらであれば今後の生活はできるだろう」と夫婦で話し合い、リタイアを決断しました。また、Oさんの妻は、出産後しばらく育児に専念したのち、職場に復帰していましたが、Oさんが退職するタイミングで一緒に退職することにしたそうです。
リタイア後は、これまで夫婦ともに仕事が忙しかったので、かねてより計画していた海外旅行に行ったり、自宅の庭で野菜を育てたりと、日頃から描いていた老後を過ごしていました。
ところが、リタイアして5年ほど経ったある日、O夫妻は退職金や貯蓄をほぼ使い果たしてしまったことに気づいたのです。
O夫妻が描いていたリタイア後の生活
O夫妻のリタイア後の家計収入は[図表]の通りです。ただ、O夫妻は結婚にあたって「お互いの収入には干渉しない」と決め、それを忠実に守っていたそうで、図中の金額はFPである筆者が夫婦に聞き取りを行った際、初めて知ったものでした。
※1 特別支給の老齢厚生年金の詳細は日本年金機構HP「特別支給の老齢厚生年金」参照
※2 加給年金と振替加算の詳細は日本年金機構HP「加給年金額と振替加算」参照
(公財)生命保険文化センターの調査によると、リタイア後の必要な生活費は月額平均で23.2万円、ゆとりある生活費は月額平均37.9万円となっています。この“ゆとり”の使いみちは「旅行やレジャー」が最も多く、次いで「日常生活費の充実」や「趣味や教養」、「身内とのつきあい」「耐久消費財の買い替え」「子どもや孫への資金援助」が続きます※3。
※3 (公財)生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/2022(令和4)年度より
O夫妻の現在の生活費は「約38万円」と、勤めていたころとあまり変わりません。リタイア後、コロナ禍になる前は毎年100万円以上海外旅行に使い、そのほかにも長年使っていた電化製品や自家用車を買い替えたり、自宅の外壁を修繕したり、趣味のために高額な材料を購入したりと、まさに“ゆとりある”支出をしていたのでした。
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