(※写真はイメージです/PIXTA)

マネジメントの父ともいわれる世界的経営学者でありコンサルタントのピーター・F・ドラッカー。彼が提唱した「ドラッカー理論」は世界的に有名ですが、じつは日本では多くの企業に“誤って”捉えられていると言います。本連載は、ドラッカー研究に50年以上携わっている二瓶正之氏の著書『徹底的にかみくだいた「自己目標管理」ドラッカーが本来伝えたかった目標管理』(春陽堂書店)を一部抜粋してお届けします。

「価値観」「あるべき場所」「なすべき貢献」の3要素

③自分の「価値観」を知る

(※写真はイメージです/PIXTA)
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自分自身をマネジメントするためには、自分は何に価値を見いだすかを知っておく必要があるとドラッカーは言います。自分が大切にする価値観と組織の価値観が一致しなくても、重なる部分があるかどうかが大切です。

 

もし、組織の価値観と自分の価値観が重ならないと働く者にとっては仕事は苦痛となり、成果にもつながらないでしょう。強みと求められる仕事のスタイルが合わないという状況はまれですが、強みと価値観が重ならないという状況はありがちです。

 

そのような葛藤状況に陥ったときは、「強み」よりも「価値観」を優先すべきだとドラッカーは教えています。

 

④自分の「あるべき場所」を知る

自分をマネジメントするために、自分のあるべき場所、自分の適所について知っておくことも大切です。自分の強みを知り、自分の仕事のスタイルを知り、自分の価値観も知ると、自分のあるべき場所や自分に適した職場環境がわかってきます。

 

例えば、大きな組織の方が力を発揮できる人、小さな組織の方が向いている人、誰かとチームを組んで仕事をする方がいい人、一人で仕事をする方がいい人、ナンバーワンとしてリーダーシップを発揮する方がいい人、ナンバー2としてリーダーを補佐する方がいい人など、さまざまです。

 

自分にふさわしい場所や職場環境について知ることは、自分のキャリア形成を考える上でも重要です。ドラッカーは「自分にふさわしくない場所からどんなに好条件でオファーが来ても断るべきだ」と述べています。

 

⑤自分の「なすべき貢献」を知る

自分自身をマネジメントするには、「なすべき貢献は何か」について自問自答することが重要だとドラッカーは言います。自分自身が果たすべき貢献を考えることは、知識の段階から行動の段階の起点になるとも言います。

 

そして、重要なのは何に貢献したいと思うかではなく、何に貢献せよと言われたかでもなく、何に貢献すべきかであると説いています。

 

この問いに答えを出すには、「状況が何を求めているか」「自分自身の強み、仕事のスタイル、価値観からいかにして最大の貢献をなし得るか」「組織や社会を変えるために、いかなる成果を具体的にあげるべきか」という三つを考える必要があると言います。

 

ここで解説したセルフマネジメントの①から⑤を知ることで、自分自身のマネジメントが容易になるとドラッカーは教えています。

 

マネジメントの哲学といえる自己目標管理を深く理解する上で、特に目標設定場面ではセルフマネジメントの考え方は多大なる助けになるものと確信します。

徹底的にかみくだいた「自己目標管理」ドラッカーが本来伝えたかった目標管理

徹底的にかみくだいた「自己目標管理」ドラッカーが本来伝えたかった目標管理

二瓶 正之

春陽堂書店

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