(※写真はイメージです/PIXTA)

日本人の未婚率が上昇し続けているが、高所得の男性のほとんどは既婚者だ。つまり、経済状況が厳しい人は結婚できず、高齢となってからも「孤独な生活」を送るリスクが高いといえる。現状を見てみよう。

2020年の生涯未婚率「男性28.3%、女性17.8%」

内閣府『令和4年版 少子化社会対策白書』によると、2020年、50歳になった時点で一度も結婚をしたことがない人の割合は、男性28.3%、女性17.8%だった。

 

出所:「令和4年版 少子化社会対策白書」第1部 少子化対策の現状(第1章3)
[図表1]50歳時の未婚割合の推移 出所:「令和4年版 少子化社会対策白書」

 

ご存じの通り、日本人の婚姻件数は減少の一途をたどっている。1970年~1974年にかけては、年間100万組超だった婚姻数だが、1978年以降から2010年までの期間は、年間70万組台あたりを上下しつつ推移。2011年以降は年間60万組台で低下し、2018年には60万組台を割り込んだ。

 

2019年は改元による「令和婚」ブームがあったが、2020年は52万5,507組と過去最低を更新。1970年代前半と比べると、半分程度の水準となっている。

 

※婚姻率=人口千人当たりの婚姻件数 出所:
[図表2]婚姻件数及び婚姻率の年次推移 ※婚姻率=人口1,000人当たりの婚姻件数
出所:「令和4年版 少子化社会対策白書」

男性の年収別の有配偶率

だが、男性の雇用形態や収入に焦点を当てると、婚姻率に明確な差があることがわかる。

 

正規の職員・従業員の男性は、25~29歳で30.5%、30~34歳で59.0%が結婚している。一方、非正規の職員・従業員の男性はでは25~29歳で12.5%、30~34歳で22.3%で、それぞれ正規の職員・従業員の半分以下だ。さらに、非正規の職員・従業員のうちパート・アルバイトの男性は、25~29歳で8.4%、30~34歳で15.7%の婚姻率で、正規の職員・従業員の4分の1程度となっている。雇用形態の違いで、配偶者のいる率に大きな差がある。

 

出所:
[図表3]男性の従業上の地位・雇用形態別有配偶率 出所:「令和4年版 少子化社会対策白書」

 

また、男性の年収別に有配偶率(2017年時点)を見てみると、いずれの年代も、一定水準までは年収の高さと配偶者のいる割合がリンクしていることが、明確に見て取れる。年収900万円以上の39歳までの男性にいたっては、9割超が既婚者だ。

 

出所:「令和4年版 少子化社会対策白書」
[図表4]男性の年収別有配偶率 出所:「令和4年版 少子化社会対策白書」

 

以上のことから、収入の低い男性は結婚できず、しかもその割合は増えているということが推察できる。

おひとり様の就職氷河期世代の老後は…?

『令和2年国勢調査』によると、「おひとり様の65歳以上世帯」は671万6,806世帯で、5年前の調査から113%増となった。

 

下記は、1980年からの高齢者単独世帯数の推移である。

 

★高齢者単独世帯数の推移

1980年:881,494世帯

1985年:1,180,723世帯(133.9%)

1990年:1,623,433世帯(137.5%)

1995年:2,202,160世帯(135.6%)

2000年:3,032,140世帯(137.7%)

2005年:3,864,778世帯(127.5%)

2010年:4,790,768世帯(124.0%)

2015年:5,927,686世帯(123.7%)

2020年:6,716,806世帯(113.3%)

 

出所:総務省統計局『国勢調査』より

※(かっこ)内は前回調査からの増加率

 

金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和3年』によると、「金融資産を保有していない」と回答したおひとり様の割合は、60代で28.8%、70代で25.1%だった。「金融資産」とは「運用や将来に備えて蓄えている部分」のことである。つまり、経済的に余裕のないおひとり様高齢者は4人に1人以上となっている。

 

※ 本調査では「定期性預金・普通預金等の区分にかかわらず、運用のため、または将来に備えて蓄えている部分とする。ただし、商・工業や農・林・漁業等の事業のために保有している 金融資産や、土地・住宅・貴金属等の実物資産、現金、預貯金で日常的な出し入れ・引落しに備えてい る部分は除く」としている。

 

好景気やバブルを謳歌した世代ですら、このような状況だ。ましてや、就職氷河期世代のおひとり様の未来は、相当厳しいといえる。

 

将来の「貧困リスク」に備えるため、まずは少しずつでも、老後資産の形成を行うことが重要だ。そして、国や行政も、運の悪い時代に誕生してしまった世代の人たちを、「自己責任」と切り捨てるのではなく、何らかの対策を取ってサポートすることが、日本経済の建て直しにも重要だといえるのではないか。

 

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