イラスト:高田真弓

これからの時代を生きる子どもたちに必須となる「金融リテラシー」。著名FPの家庭をモデルに、子どもたちにぜひ知ってもらいたい「お金の知識」を紹介します。※本連載は、頼藤太希氏・高山一恵氏の共著『子どもに年収を聞かれたら? 11歳から親子で考えるお金の教科書』(日経BP)より一部を抜粋・再編集したものです。

「ママ。いくらあったら、一生働かなくて済むの?」

お金をどれだけ貯めたら、一生働かなくてもいいのでしょうか? 「一生にどれくらいのお金を使うのか」という意味でいえば、2億5000万円が目安です。素朴な疑問をきっかけに、人生に必要なお金の全体像を把握できるといいと思います。

 

FPパパ:資産運用が専門のファイナンシャルプランナー(FP)で、投資の相談に乗ることが多い。FPママと一緒に会社を経営。ゲーム好き。

 

FPママ:ライフプランが専門のファイナンシャルプランナー(FP)で、家計管理の相談に乗ることが多い。家事より仕事のほうが好き。

 

ヒロ:FP夫婦の子ども。小学校5年生。ゲーム好きで、プログラミングを習っている。好きな科目は社会と算数。肉より炭水化物が好き。

 

ヒロ:ママ……、ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いい?

 

FPママ:どうしたの? 浮かない顔して。

 

ヒロ:どれだけお金があったら、一生、働かないで済むのかな?

 

FPママ:あら! そんなことに興味があるの?

 

ヒロ:ほら、このあいだからママやパパと生活費や教育費の話をしてきて、人が生きていくためには本当にたくさんのお金がかかるんだなあって、思ったんだ。でもさ、一生に使うお金をあらかじめ貯めてしまえば、もう働かなくてもいいわけでしょ。残りの人生、ずっとゲームをしていてもいいし、ユーチューブを見ていてもいいわけじゃん!

 

FPママ:なるほどねえ。

 

ヒロ:だからさ、いくら貯めればいいのか知りたいな、と思ったんだ。ねえ、僕が一生で使うお金ってどれくらいなのかな?

試しに、ライフイベント表をつくってみよう

FPママ:うーん、難しいわねえ。都会に住むのか、田舎に住むのかによっても違うだろうし、子どもを持つのか、持たないのかとか、一生に必要なお金の総額は、いろんな要因で変わってくるわよね。だから、答えを出すのはなかなか難しいわ。

 

ヒロ:それはそうだけど……。でも、だいたいの目安だけでも知りたいな。

 

FPママ:そうね……じゃあ、試しにヒロのライフイベント表をつくってみましょうか。

 

ヒロ:ライフイベント表?

 

FPママ:ライフイベントというのは、就職や結婚、出産など、人生で起きるさまざまな出来事のことよ。ライフイベントがあると大きな支出があったり、毎月の生活費に変化が起きたりするものなの。だから、自分の人生にこれから「いつ、どんなライフイベントが起きるのか」を予想しておくと、一生にかかるお金も予想しやすくなるのね。それを表にしたのが、ライフイベント表で、例えば、こんな感じね(図表1)。

 

FPパパ:ママとパパが仕事で家計の相談に乗るときにも、よくつくっているぞ。

 

[図表1]ヒロの仮想ライフイベント表

 

ヒロ:うわーっ、すごく具体的。僕に子どもが2人生まれるんだ……大丈夫かな。

 

 

FPママ:あくまで「仮」の計画だから。仮でも決めておかないと計算できないからね。とりあえずヒロは浪人も留年もしないで大学を卒業して、22歳で就職、65歳でリタイアするというプランよ。

 

28歳で結婚して、子どもは2人。マイホームは購入するっていうことにするわね。計算を簡単にするために、物価の変動なんかは無視するわ。だから、すごくざっくりとした、おおまかな数字になるわよ。いいわね。

 

ヒロ:オッケー。わかったよ。

 

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子どもに年収を聞かれたら? 11歳から親子で考えるお金の教科書

子どもに年収を聞かれたら? 11歳から親子で考えるお金の教科書

頼藤 太希,高山 一恵

日経BP

お金の基本を、子どもに説明できますか? 著者累計100万部突破のFP夫婦が、漫画と図解で、11歳の息子に教えたお金の「稼ぎ方」「使い方」「増やし方」年収、社会保険、電子マネー、投資、NISA… 「うちの年収っていくらなの…

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