一生に必要なお金は、2億5000万~2億6000万円程度
ヒロ:でも定年になったら、年金がもらえるんじゃないの?
FPママ:それはそうなんだけど、現実には、年金だけで生活していくのはなかなか難しいみたいね。少子高齢化で年金が減る可能性も高いし、老後も旅行にいったり、おいしいものを食べたりしたいと思ったら、貯金がいるわ。そうね……老後の生活費の半分の2600万円くらいは、自分で用意できるといいかしら。
ヒロ:年をとっても、なかなか働かなくていいってことにはならなそうだね。
FPママ:そうよ。働き続けられるなら、それがベスト。体が弱って働けなくなってくると、今度は介護というライフイベントもあるわ。
ヒロ:亡くなったひいおばあちゃんは、老人ホームに入っていたよね。
FPパパ:そうだよ。老人ホームに入ったりすればやっぱり、お金がかかる。介護にかかるお金を計算してみようか。介護の必要な生活が何年続くかは人それぞれだけど、平均すると5年1カ月※6。その間の介護費用は1カ月8万3000円が平均。そのほかに介護用のベッドを買うといった一時的な費用が平均74万円かかる。そうすると介護費用の総額は平均で580万円くらいと考えられるね。
※6 生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」
FPママ:じゃあ、ヒロの結婚から介護までにかかるお金をライフイベント表に書き入れて合計してみようか。そうすると……全部で1億780万円(図表3)。
ヒロ:うわーっ、1億円を超えちゃうんだ!
FPパパ:これに、さっき計算した現役時代の生活費の合計を足すと、2億5732万円。ヒロの一生に必要なお金はだいたい2億5000万~2億6000万円ってことになる。
ヒロ:2億5000万円! すごい金額だね!
FPパパ:でも、人生は長いからね。長い一生のあいだにコツコツ働いて、それだけ稼げれば問題ない。このあいだ、生涯賃金の話をしたよね。
ヒロ:そうだったね。大学や大学院を出ている男の人の平均が2億6190万円だったね。ということは、頑張って勉強して、頑張って働いていけば、なんとかやりくりできるのかな……。はーっ、結局、コツコツ働いて、コツコツお金を貯めなさい、っていうことなんだね。 一生遊んで暮らそうなんて、ムシがよすぎる話なのか……。
FPパパ:おいおい、ヒロはそんなに働くのがイヤなのか?
FPママ:AIにはできないような仕事をするんじゃなかったの?
ヒロ:もちろん、将来働こうとは思っているけど、イヤな仕事ならすぐやめて、好きなことだけをする生活をしたいなーって思って。お金の心配をしないでさ。
FPパパ:その気持ちはわかる気がするけどね。お金の心配をしないで、好きな仕事だけをしようと思ったら、がむしゃらに頑張るだけでは難しいかもしれない。今は銀行に預金しても、あんまり利息がつかないしな。「投資」が必要だね。
ヒロ:投資っていうのは……「将来のためにお金を使うこと」だったよね?
FPパパ:そうだよ。教育にお金を使うのも、広い意味では投資の1種だけど、一般には投資というと、株式投資や不動産投資をイメージする人が多いかもしれないね。
ヒロ:株式投資! 僕、すごく興味あるよ! 教えて!
FPパパ:よし! でも、これはまた長い話になるから、また今度にしよう。
ヒロ:えーっ! 早く知りたいよー。
頼藤 太希
株式会社 Money & You 代表
高山 一恵
株式会社 Money & You 取締役