(※写真はイメージです/PIXTA)

帝国データバンクによると、建設業界の2022年の倒産件数が14年ぶりに増加しました。この倒産件数は全業種内でも最も大きな割合を占めています。コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻による影響で建設資材の高騰、人材不足が叫ばれながら、東京五輪バブルが業界の景気を牽引していた建設業界は何が起きているのでしょうか。

生産性向上への寄与度が高い「ドローン」

ドローンで撮影したデータは地理空間情報や時系列として情報処理解析すれば、BIM/CIMに適用した設計データの納品が可能になります。少なくともドローンには、BIM/CIMを援護する潜在能力を秘めています。

 

IT系の機材・ツールの導入に企業を悩ませるのは、それを使いこなすための人材不足や導入すること自体への理解を得る難しさといったことが挙げられます。すでに導入済みの機材をベースにしてBIM/CIMに取り組むのであれば、敷居はぐっと低くなるでしょう。

 

その点、ドローンの潜在能力には期待できそうです。

 

株式会社スカイマティクス(東京都中央区)「建設DXに関するアンケート調査」より。
株式会社スカイマティクス(東京都中央区)「建設DXに関するアンケート調査」より。

 

最も生産性向上に寄与した建設ICTツールに関するアンケートでは、下の図のような結果が出ました。

 

こちらは、実務に一番関係のありそうなCADを抜いてドローンがトップの位置につけました。ドローンの使い方は撮影や測量、あるいは運搬とさまざまありますが、ドローンで取得した地形データを3DCADや三次元データ作成へ転用する流れも想像できます。

 

BIM/CIM適用のみならず、2024年にはこれまで建設業界に関しては政府が特例として一部許容してきた「働き方改革関連法」による残業時間の制限に関しても、BIM/CIM適用にうまく対応できれば、工数やコスト削減の実現にも期待がもてそうです。

 

2023年度以降は、医薬品卸倉庫と病院をドローンで結ぶ「薬のオンデマンド輸送」をはじめ、物流業界ではますます注目を集めそうなドローンですが、今回のアンケート結果に、ドローンのさらなる潜在能力が垣間見えた気がします。

 

株式会社スカイマティクス(東京都中央区)「建設DXに関するアンケート調査」より。
株式会社スカイマティクス(東京都中央区)「建設DXに関するアンケート調査」より。

 

九州大学大学院工学研究院都市システム工学講座教授の馬奈木俊介氏はこう指摘します。

 

「調査結果から、建設業の小規模企業では、建設 ICT ツールの導入率が全般に低いことが示されました。これが建設業の生産性向上のネックとなっていると考えられます。また、ドローンや 3D CAD 等の導入率が高いことと、ドローンや 3D CAD 等の生産性向上の寄与度が高いことも示されました。

 

ドローンはそれほど高額ではないため、小規模企業でも導入しやすいツールです。ドローンで地形データを取得し、3D CAD 等で 3D データとして活用することで、様々な応用ができる可能性があります。まずはドローンの普及によって、建設業全体の生産性が向上することが期待できます」

 

3Dプリンタが世の中を大きく変えたように、今年はいよいよドローンがさまざまなマーケットで本領発揮しそうです。

 

江里 洋平
MOPS代表取締役

 

 

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