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国立志望でも、「共通テスト対策」を通じて私立対策を
国立一本で考えている受験生は、私立を視野に入れないことも多いですが、共通テスト後には何が起こるかわかりません。
そこで、共通テストがセンター試験と比べて「ロジックで考えさせる問題」が多くなったことを利用しましょう。私立の勉強を「共通テストの延長線上にある勉強」と考えるのです。そして、事前に私立の過去問に触れておくことをおすすめします。
そうすれば、第一志望は国立であっても共通テスト対策でそこまで苦労することもありません。むしろ簡単に思えるはずです。
「それなら、私立医学部を受験する生徒はみんな共通テスト対策をやればいいのか」と思えるのですが、合計300点分にもなる「国語・社会」対策への時間がネックです。私立専願の生徒は、英語、数学、理科2科目の勉強に絞りたいところです。
さらに私立医学部の場合、先ほども述べましたが、学科試験を突破できても面接や小論文の配点も高く設定されているので、学科試験の勉強だけをしていればいいというわけでもありません。
ちなみに国立でも面接・小論文の配点を高く設定する学校は多くあり、そうでない学校は学科勝負を望む受験生が集まるため、難しい入試となります。
共通テストの直後から入試が始まるのは、私立専願の生徒に有利に働かせることを目的としています。私立医学部は、自身の学校を第一志望としている生徒に入ってもらいたい気持ちが強いです。
学科試験のあとの日程で面接試験があるため、日程を早めないと間に合わないという理由もありますが、共通テストには国語や社会の勉強があるため、そこに力を注いでいた生徒がすぐに私立の勉強をしたところで、なかなか追いつけないことを大学はよく知っているのです。
地方の国公立医学部と関東の私立医学部では、偏差値はあまり変わりません。しかし、大学独自の試験自体を比較すると、私立医学部の方が難しいです。一般的な国立大学では、基本的に他学部と共通の問題が多く出題されるため、あまり癖のない問題が出されますが、私立ではそうはいきません。
ただ国公立でも、「医科大学」の名前が付くような単科の大学では、一般教養の先生が総合大学と比較的して少ないことから、その先生が専門とされている分野の問題を作る傾向もあり、注意が必要です。
学部をたくさん有している大学では、数学の先生だけでもたくさん在籍しているので、時間をかけて「10人で作成した問題を他の10人で解いて検証する」こともできます。しかし私立は、最近では「20年くらい前の過去問をもう一度作り直す」ようなことも多いです。
合格は、単純に偏差値の高さで手にできるものではありません。次の入試では、国立医学部志望の受験生であっても、私立医学部をどこか頭に入れてしっかり過去問を解きつつ、共通テスト対策をしていくことをおすすめします。
亀井 孝祥
医学部受験専門予備校メディカ 代表、数学講師
愛知・東海高校から東京理科大学へ。塾講師を経て医学部受験予備校YMSにて数学科主任、教学部長など9年務めたあと、姉妹校設立のため独立。姉妹校提携解消後、医学部受験専門予備校メディカを設立。現在に至る。