今回は、歯科医院の経営者なら作成したい「納税カレンダー」について見ていきます。※本連載は、中央税務会計事務所の税理士・中島由雅氏と、株式会社アックスコンサルティングの代表取締役・広瀬元義氏の共著『これ1冊で安心 歯科医院経営のすべてがわかる本』(あさ出版)の中から一部を抜粋し、歯科医院の節税、税務調査対策について解説します。

納めるべき税金を「月ごと」に把握する

これまで何度も「内部留保をしなければならない」と繰り返してきました。納税は前払いで徴収されたり、忘れたころに時間差で請求されたりするため、あらかじめ準備をしておかなければ資金繰りが急激に悪化してしまうからです。

 

何月に、どの税金を納めなければいけないのか把握する納めるべき税金について月ごとに記した「納税カレンダー」の作成がお勧めです。

 

都道府県に納める税金については、都道府県のホームページに掲載されています。いくら納めるかを把握する自由診療が大きく増えると、事業税や消費税が発生する、概算経費が使えなくなるなど、前年度と内容が異なる場合があるので、注意が必要です。

「前年の所得」を基準に請求される住民税に注意

とくに忘れやすいのが、その年の所得を基準に翌年請求される、住民税です。税率は一律10%であり、所得が大きい人ほど多額の納税をすることになります。

 

たとえば売上が4000万円で、課税総所得が1600万円、所得税を計算したら375万円になりました。「納税後の1243万円から借入金の返済やスタッフの給与、生活費など諸々の支払い計画を立てても、まだ残金がある。それなら思い切って新しい設備を導入しよう!」と、大きな設備投資を終えたころ、6月に「住民税約160万円を払ってください」という通知が来て、青ざめる。このようなケースが、本当によくあります。

 

勤務医は給料から天引きされるため「住民税を納めている」という感覚が薄いのでしょう。個人事業者になると大きな金額の納税が時間差でやってくるので、かなりきついボディブローをくらうことになります。

 

普段からキャッシュフローをしっかり把握し、納税預金を積み立てておきましょう。

本連載は、2015年7月1日刊行の書籍『これ1冊で安心 歯科医院経営のすべてがわかる本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

これ1冊で安心 歯科医院経営の すべてがわかる本

これ1冊で安心 歯科医院経営の すべてがわかる本

中島 由雅,広瀬 元義

あさ出版

新規開業の方法、アルバイトに高い売上を上げてもらう手立て、決算書の見方から、税務調査対策まで、歯科医院の経営を成功させるため実務に直結する具体的なアドバイスをお伝えします。 「コンビ二より激しい」といわれる歯科…

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