(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍で一時失速していたM&A活動も、次第に以前の勢いを取り戻しつつあり、2022年後半の力強さを見ると、2023年には期待が持てる状況だといえます。各エリアのM&A活動のうち、特筆すべきビジネスジャンルについて、最新情報をもとにレポートします。※本記事は、Datasite日本責任者・清水洋一郎氏の書き下ろしです。

2022年下半期に見る強さから、2023年へと膨らむ期待

今年は景気後退の可能性がまだあるものの、アメリカ大陸では2022年、多くの人が懸念したよりも経済は軟着陸し、M&A活動はパンデミック以前の水準を維持しました。

 

EMEA地域のM&Aも持ちこたえ、予想と多くの課題を乗り越え、相対的にアメリカ大陸とAPAC地域を上回りました。APACの活発な地域経済と、2022年下半期のディール活動における相対的な強さは、2023年へ期待を持たせてくれています。

 

DatasiteとMergermarketは、最新のDeal Driversレポートシリーズで、2022年以降の世界のM&Aトレンドを分析し、2023年に向けてディールメーカーが次の流れを判断できるよう、パイプラインを先取りしています。

アメリカ大陸エリア、市場停滞でM&A活動も縮小傾向

2022年の米国の実質GDP成長率は約3.6%と予想されていますが、景気後退になるのか、それともただ昨年より低成長にとどまるのかについては、議論の余地があります。

 

しかし、1月の世界経済フォーラムで、国際通貨基金(IMF)のギータ・ゴピナート副専務理事は、アメリカ合衆国がインフレ削減法を通じたグリーン投資に乗り出し、欧州がウクライナ戦争の影響に適応し、中国がようやく新型コロナウイルス関連の規制を解除したことから、IMFは過去の世界成長予測を見直すだろうと語りました。

 

アメリカ大陸全土で、2022年に合計18億米ドルに相当する10,580件以上のディールが発表されました。これは、金額ベースでは2021年比で38%減という大きなダウンシフトを意味しますが、件数ベースでは8%減と、はるかに回復力を示しています。

 

2023年初頭、アメリカ大陸では、テクノロジー、メディア・エンターテインメント(TMT)セクターの案件が安定的に供給されています。2022年には、TMTセクターに次いで、製薬・医療・バイオテクノロジー(PMB)セクターの取引件数が多く、この傾向は今後も続くと思われます。

欧州、困難な状況下で「ポジティブな展望」

EMEA地域は、2022年、予想に反して、印象的な取引活動を見せました。ロシアによるウクライナへの侵攻は、世界のどの地域よりもヨーロッパに大きな影響を与えましたが、EMEA地域のM&A活動は堅調に推移しています。金額面では年末にかけて減少傾向にあったものの、規模が小さく戦略的な取引に重点が置かれたため、件数でみれば、パンデミック以前の水準を十分に上回りました。

 

EMEA地域の弱点は2022年の大型取引の減少であり、全体として50億ユーロを超える取引は20件強で、前年同期比48%減となり、そのうち第4四半期に発表されたものは1件のみでした。金融期間・貸金業者は年末にかけてシンジケートローン市場から手を引いたため、大型のプライベートエクイティプレーヤーの生活は極めて厳しいものとなりました。

 

TMTセクターは、勢いが衰える気配はありません。2022年にEMEA地域全体で最もM&Aが活発だったセクターであるだけでなく、近い将来、安定的な取引が発生する可能性が高いといわれています。しかしながら、イタリアにおいては、TMTセクターが優勢にはならないと予想され、消費者向け案件が中心となっています。

APAC地域のダイナミズムがM&Aを「活性化」

APACのM&Aは2022年に減少しましたが、これは世界全体で見られたブーム後の落ち込みと相対的な大型ディールの少なさを反映しています。中国の徹底したゼロコロナ政策による、主要都市で大規模なロックダウンが発生し、必然的にディール活動が阻害されましたという、地域上の特性も要因の一つです。12月に新型コロナウイルスに関連する規制が緩和され、国民全体の自然免疫力が高まるにつれ、中国もまもなくパンデミック以前の生活に戻れるかもしれません。

 

アジア最大の経済大国である中国が、深刻化する不動産債務危機が収束しつつあることは、もう一つの明るい兆しです。中国の重債務不動産開発会社が発行する債券は、苦境にある不動産セクターを支援するために当局がとった措置を受けて、11月の記録した過去最低水準から約50%上昇しました。中国経済の再開は、成長を促し、取引を活発化させる可能性があるため、大いに期待されています。

 

APAC地域は、ここ数年、頼もしい成長ドライバーとして活躍してきましたが、国際通貨基金(IMF)が10月に、再び2022年の経済見通しを4%に下方修正した時でさえ、2023年には4.3%に上昇すると予想しています。

 

2023年初頭、APAC地域のM&A市場では、中国の巨大な工業・化学品(I&C)セクターが大きな動きを見せると予想されます。しかし、中国以外の国では、I&Cは比較的おだやかで、TMTセクターの買収が多くなると予想されています。

 

 

清水 洋一郎
Datasite 日本責任者

 

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