(写真はイメージです/PIXTA)

世界12市場の成人消費者25歳から55歳を対象にした、米国・調査・教育機関リムラによる調査では、コロナ禍を経て、相談できる金融アドバイザーの有無の状況、金融アドバイザー、生保募集人への信頼度について触れています。また日本は世界の状況とは大きく異なっていることも示されています。ニッセイ基礎研究所の有村寛氏による解説です。

3―生命保険募集人に対する信頼度についての国際比較

また、【図表3】は、生命保険募集人が信用できるかどうかについての調査結果である。ここでも日本は、『信用できる』と回答した人は38%と最低の水準となっている。

 

【図表3】
【図表3】

 

一方、その他の市場に目を向けてみると、日本、韓国以外では、5割を超える人が生命保険募集人に対して『信頼できる』と回答している。さらにフランス(58%)を除けば、その他の市場では、ほぼ7割以上の人が、生命保険募集人は『信頼できる』、と回答しており、日本、韓国といった一部の市場を除いて、世界の消費者の生命保険募集人への信頼は高いことを示している*4

 

*4:生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」(https://www.jili.or.jp/files/research/zenkokujittai/pdf/r3/2021honshi_all.pdf)では、チャネルについての満足度についての調査結果が掲載されており、令和3年調査では、「満足している」(30.1%)、「どちらかといえば満足している」(54.8%)、「不明」(9.3%)、「どちらかといえば不満である」(5.2%)、「不満である」(0.7%)となっている。また、同報告書では、加入チャネル別の満足度や、加入チャネル別の「加入チャネルに満足している点」についての調査結果等、より詳細な調査結果が掲載されている。

4―おわりに

コロナ禍を経て、世界では、相談できる金融アドバイザーを持つに至った消費者が増加傾向にあり、また、そういったアドバイザーを持つ消費者は、自分のアドバイザーに対する信用度は高いことがわかった。一方、日本では、先述の通り、回答者の7割近くの消費者が金融アドバイザーは不要と考えており、その他の市場とは大きく異なるが、日本人の投資に対する意識が低いことを示唆している可能性があるとも考えられる5。

 

また、生命保険募集人に対する信頼度については、日本、韓国以外の世界の市場では概ね高水準であり、その点についても、日本とは大きく異なっている。

 

このような国際比較は珍しく、貴重なデータといえよう。LIMRAでは、今後も同様の調査を継続するものと考えられることから、引き続き動向について注視していきたい。

 

*5:日本銀行調査統計局「資金循環の日米欧比較」2022年8月31日によれば、家計の金融資産構成は、日本の金融資産は、欧米と比べて現預金が占める割合が圧倒的に高い一方、逆に、投資性資産である株・投資信託の割合は、著しく低い状況となっている。

【現金・預金比率】
日本 54.3%
欧州 34.5%
米国 13.7%

【株・投資信託】
米国 52.4%
 欧州 29.9%
日本 14.7%

また、保険毎日新聞「MDRT 日米の消費者意識調査 記者説明会 保険市場の需要動向探る ファイナンシャル・アドバイザーの役割説明」2022年12月26日では、11月29日にMDRT米国本部で行われた、日米で実施した消費者意識調査結果についてのオンライン記者会見の様子が紹介されている。

そこでは、米国では、最も主要な投資資産について、「株式と債券」33%、「不動産」23%、「米国国債等の現金同等物」21%となっており、その他の調査結果も踏まえ、米国消費者のポートフォリオ分散化ニーズは高く、金融知識の多寡にかかわらず、ファイナンシャル・アドバイザーの存在は欠かせないことが分かる旨、記載されている。

一方、日本では、最も使用されている資産形成の手段が「預貯金口座」と答えた人の割合が76%であるとしつつ、「実際にアクションをとっていない実情もあるが、多くの日本人にとって資産多様化のニーズはある」とされている。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年2月8日に公開したレポートを転載したものです。

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