(※写真はイメージです/PIXTA)

遺産のなかで、預貯金や不動産の次に多い「株式」。株式には、証券取引所に上場していて誰もが購入できる「上場株式」と、家族など限られた人しか保有できない「非上場株式」がありますが、今回は「上場株式」の相続について、その手続きの方法や問題点、解決方法をみていきましょう。永田町司法書士事務所の加陽麻里布氏が解説します。

「株式の相続」で起こりがちな3つの問題点

預貯金や不動産の次に多い資産といわれる株式ですが、「日々価値が変動する」というその大きな特徴から、価格決定が難しいという問題があります。

 

たとえば、遺産分割協議のなかで、共同相続人のうち1人が1億円分の株式(現物)を相続し、他の共同相続人に対しては現金を支払う、いわゆる「代償分割」の場面で注意が必要です。

 

1.株価の「変動」

具体的には、遺産分割協議を行ったその日から株価が大幅に変動してしまった場合に問題となります。株価が大幅に上がったとしても、下がったとしても協議で決定した代償金に損得が生じるため、支払い時に異議が出てしまい、トラブルに発展することがあるのです。

 

こうしたトラブルは、協議後の株価の変動にかかわらず、「どの時点の株価を基準とするか」ということをあらかじめ遺産分割協議で取り決めておくことで、回避できる可能性があります。

 

2.現金化したくても売却までに時間がかかる

また、株式を取得した人が「現金にしたい」と考えたとしても、すぐに売却が難しいという問題もあります。

 

通常、上場株式は流動性が高いはずですが、相続手続きにおいては非常に時間がかかります。株式の名義変更は前提として「遺言」または「遺産分割協議」が必要ですが、実務上はこの手続きに加えて亡くなった方の戸籍や親族関係を証明するために親族全員分の戸籍収集が必要となるため、手続きにはだいたい1~2ヵ月ほどかかってしまいます。

 

名義変更ができなければ株の売買取引もできませんので、たとえばこの期間に株価が急落しても損切りなどを行えないというリスクがあります。

 

次ページ株式相続時の「最大のリスク」とは…

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