(※写真はイメージです/PIXTA)

遺産のなかで、預貯金や不動産の次に多い「株式」。株式には、証券取引所に上場していて誰もが購入できる「上場株式」と、家族など限られた人しか保有できない「非上場株式」がありますが、今回は「上場株式」の相続について、その手続きの方法や問題点、解決方法をみていきましょう。永田町司法書士事務所の加陽麻里布氏が解説します。

遺産分割協議を「やり直さなければならない」場合も

3.個人の財産一覧に「抜け漏れ」があった場合

さらに、株に限らず、遺産分割協議のなかで最も怖い点として、財産の抜け漏れがあった場合、最初から協議のやり直しをしなければならないということが挙げられます。

 

遺産分割協議を行う場合は、原則被相続人(故人)のすべての財産を把握しなければなりませんが、もしもあとになって「ほかにも証券口座を持っていた」など財産一覧から財産が漏れていたことが発覚した場合は、最悪遺産分割協議のやり直しをしなければいけません。また、金額が大幅に変わるなどしてその株価が相続税に影響を与えるようであれば、追加で相続税の申告手続きを行わなければいけないケースもあります。

 

こうした事態を避けるためには、遺産分割協議において「本協議書に記載のない遺産については別途協議する」といった内容を盛り込み、協議が終了した財産についてはやり直しを避けるという対策が必要でしょう。

 

また、証券口座の把握を絶対に漏らさないようにするために、「証券保管振替機構(ほふり)」で調査を行い、登録済加入者情報の開示請求をすることで、被相続人(故人)が持っていた証券口座を網羅的に把握することが可能です。

まとめ…株式相続までの「2ステップ」

株式の相続というのは、証券会社が故人から相続人口座へ移管する手続きです。そのため、まずは故人が取引のあった証券口座すべてを特定する必要があります。これは先述のように、「証券保管振替機構(ほふり)」を利用して網羅的に把握が可能です。

 

次に、取引のあった証券会社に相続があった旨を連絡し、「取引残高証明」の発行を依頼し、財産の金額などを把握します。遺言書がない場合、ここで遺産分割協議書の作成を行います。株式は日々価格変動があり、早めに決定する必要があるため、先に株式のみ遺産分割協議を行うことも可能です

 

株式を相続するには、相続する人が当該証券口座を持っておく必要があるため、持っていない場合は早めに開設手続きを行っておいたほうがいいでしょう。

 

これらは通常1~2ヵ月ほどかかりますので、事前に必要書類の確認をしておくなどして、スムーズに株式の相続手続きを行えるようにしましょう。

 

<<<【株式の相続】上場株式編 〜問題となる論点と対策について​>>>

 

 

加陽 麻里布

永田町司法書士事務所

代表司法書士

 

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