※画像はイメージです/PIXTA

南半球のニュージーランド・オークランドでは、例年ならバケーションシーズンとなるはずの1月に、長雨や洪水など、異常気象による非常事態が発生。住宅の浸水被害が相次ぎ、保険加入の重要性はもちろん、周辺住民とのコミュニケーションの大切さなど、いくつもの課題が見えてきました。不動産市場の最新事情とともに解説します。※本記事は、2023年2月6日現在の情報に基づいて執筆されています。

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    オークランド、歴史的な豪雨による洪水被害発生

    日本の1月は、お正月と成人の日の終了とともにお休みモードが終わり、日常生活へと戻る方がほとんどだと思います。一方、南半球のニュージーランドは、真夏となる1月いっぱい、バケーションの季節です。学校も1月末まで休みのため、大人も長期休暇をとっておやすみモード…というのが例年の流れ。

     

    ところが今年は、1月2日から約10日間も冷たい雨が降り続き、海辺の観光地をはじめとする行楽地はどこも閑古鳥…といった状況でした。

     

    さらに1月27日には、オークランドを中心とした地域で豪雨による洪水が発生。ひと夏に降る量の雨が1日で降ったといわれるほどの激しさで、4名の死者も出ています。高台にある高級住宅地では地滑りにより家が破損、道路から下に位置する家々は浸水被害にあいました。1m以上の高さまで浸水した平屋建ての家は、一瞬にして家財道具一式を失うことに…。

     

    報道番組のインタビューに、いまだ状況をつかみきれず、呆然とした表情のまま答える被災者の方々の様子に、筆者も衝撃を受けました。現地の1日も早い復興を祈ってやみません。新年早々悲しいニュースが飛び交うニュージーランドです。

    大規模な災害発生にも、政府の行動は俊敏

    日本では、洪水や地震といった自然災害で家をなくす、命を落とす…といったニュースは少なくありませんが、ニュージーランドでの発生頻度はごくわずかであり、それこそ年に1回程度しか聞くことはありませんでした。

     

    コロナの流行により、日々のニュースにも死者数が報道されるようになりましたが、今度は異常気象が引き起こした自然災害による死者数の報道です。さらにその後、サイクロン発生のニュースまで飛び込んできたことにより、ニュージーランド国民全体が、防災を強く意識するきっかけとなりました。

     

    1月25日に就任したばかりの新首相、クリス・ヒプキン氏は、豪雨の発生翌日の28日に現場入り。被災地を周りって被害の状況把握に努め、政府として復興支援金の予算組を指示するなど、対応は速やかです。

     

    労働党のヒプキン氏と競合する国民党のリーダー、ラクソン氏もボランティアとして現地入り。リーダー自らTシャツ・短パン姿となり、浸水した家のカーペットを慣れた手つきではがして処分を進めるなど、手際のいい作業に驚かされました。

     

    この豪雨ですが、オークランドのすべての地域で浸水があったわけではなく、同じ地域でも、土地の傾斜や建物の構造によって、浸水した家・しない家が分かれています。

     

    幸いにして、筆者の家が浸水を免れたことから、近隣のみなさんも大丈夫だと思っていたところ、斜面に建つ知人宅は傾斜の低い方の部屋が浸水し、建築業者を探しているとのことでした。まさか被害に遭っているとは思わず、話を聞いて驚き、とっさにお見舞いの言葉も出ませんでした。また別の知人宅では、ガレージは浸水したものの、そこが盾となったおかげで自宅建物が守られたということでした。

    「保険加入」「ご近所付き合い」の大切さを再確認

    家を持つ方々は、建物自体の災害保険には加入していても、家財道具の保険にまで加入している方は多くありません。

     

    被害を受けた家屋は、保険会社が一戸一戸を周り、被害状況を判定されたのちに保険金が支払われますが、家財道具の保険をかけていなかった方は大変です。ソファ、ダイニングテーブル、ベッドなどの家具から、鍋や食器といった生活必需品まですべて失ってしまい「1年分の給与がパアだ」…と嘆く声も聞かれます。

     

    しかしその一方で、公的団体、民間団体を問わず各方面で寄付が呼びかけられ、体育館や近所の教会といった大型施設に品物を集め、被害に遭った方へ支給する、支援の輪が広がっています。

     

    学生などの若いボランティアの方々は泥まみれになった家や道路の掃除、高齢者のボランティアの方々は、使わない電気コードやタッパー、タオルや毛布類などを集めて寄付、といった動きもあります。

     

    災害後、地域との連携、ボランティア活動の取り組みがすぐさま行われ、家や水辺に取り残されてしまった人を、通りがかりの人たちが連携して命かけで助けるという光景も、あちこちで見られました。

     

    もちろんこれは、ひとつ違えば自分の命を落とすことにもなりかねず、簡単にできることではありません。しかし、日頃から体を鍛えている学生のみなさんや、大人の男性のみなさんの力が生かされたようでした。

     

    都会となった近年のオークランドでは、近所付き合いも密ではなくなっていました。数軒先の家に、どんなファミリーが何人で暮らしているのかわからないことも珍しくありません。しかし、このような災害が起きた際には、お互い助けあえる最低限のお付き合いは必要だと考えさせられました。

     

    筆者自身、新年早々10日間も連続して降る雨を眺めながら、いつ停電・浸水があってもおかしくないと感じていました。

     

    NZは日本と違い、都市部だからといって便利なコンビニがいくつもあるわけではありません。そのため筆者は、ミネラルウォーターの備蓄を増やし、万が一の際の食事を確保。夏という季節柄、冷えた食事でも問題なかったことが幸いしました。

     

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