「ファーストリテイリング」は約20年で100倍以上に!
トヨタ自動車は、70年という長い歳月をかけて大成長しました。
もう少し短いスパンで成長した例として、ファーストリテイリング(9983)の例を見ていきましょう。
世界3位のSPA(Speciality store retailer of Private label Apparelの略。企画から製造、販売までを垂直統合させたサプライチェーンモデルのこと)大手で、ユニクロとGUを展開するファーストリテイリングが上場したのは1994年7月。1998年6月に1050円と最安値をつけた後、株価は上昇に転じ、2021年3月に11万500円の最高値をつけました。
これは、10倍どころか100倍を超える大化けぶりです。ファーストリテイリングも最安値をつけた1998年以降、2000年10月と2002年4月に1:2の株式分割を行い、株数は4倍に増えていますので、投資金額で見れば実に400倍以上になったと言えます。
高校の文化祭のお化け屋敷のような店内
ドン・キホーテで知られる、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532。本書ではわかりやすいように、「ドン・キホーテ」と表記)が株式市場に上場したのは、1996年12月のことです。
私がドン・キホーテを四季報で見つけた1998年、当時数店舗しかなかったうちの1店が家の近くにあり、実際に入ってみたことがあります。店内はまるで高校の文化祭のお化け屋敷のようで、率直に「なんだか雑然としたお店だな」という印象を抱きました。私の好みには合わなかったということです。
そこで、すでに株を買っていただいていたお客様には売却するようおすすめしたのですが、これが大きな間違いでした。確かにドン・キホーテは私の好みには合いませんでした。しかし時代の流れには合っていたのです。
ドン・キホーテが上場した1996年12月は、1997年6月から20カ月ほど続いた第2次平成不況の前夜とも呼ぶべき時期でした。多くの方の給与が上がらず、デフレが続く中、安値で商品を提供するドン・キホーテは消費者ニーズにぴったりマッチしていたのです。
結果として、ドン・キホーテの株価は急上昇。1997年9月修正株価の安値1900円が1999年6月の高値46,000円と、1年9カ月でおよそ24倍になりました。客観的な視点を持たずに、自分の主観に頼った判断をしてしまったことは、私自身今でも少し心残りです。
約20倍に跳ね上がった、あの国産ファッションブランド
トヨタ自動車、ファーストリテイリング、ドン・キホーテと誰もが知っている銘柄が続きました。ここからは、知る人ぞ知るテンバガーをご紹介していきましょう。
TOKYOBASE(3415)というアパレルブランドがあります。前社名のSステュディオスTUDIOUSだった時代、2015年9月に上場しました。
それ以降、国内ブランドに特化したセレクトショップと、独自ブランドとしてのUNITEDTOKYOが主に30~40代の女性に支持され、順調に業績を伸ばしていきました。上場から半年後の2016年3月に修正株価で321円の安値をつけましたが、その後急上昇。2017年8月には6210円と、約20倍に跳ね上がったのです。
世界から日本製品の良質さが注目される中、売上は伸び続けており、2023年にはニューヨーク出店を目指すなどポテンシャルも十分。現在、株価は300円台(2022年10月時点)と比較的低水準にあるものの、これからの成長が十分期待できる銘柄と言えます。