スリランカのシャヘン・セマシンハ財務大臣(スリランカ発ローカルメディア『EconomyNext』より)

インド洋に浮かぶ小国、スリランカは、これまで長年に渡り中国からの「再建支援」の名のもとによる多額の融資で債務返済に苦しみ、「債務のわな」に陥っているとして、インドや米国を筆頭に国際社会から懸念の声が多く上がっていた。本稿ではそんな「スリランカ債務のいま」について、スリランカの政治・経済・金融に関する情報を中心に取り扱う、スリランカ発ローカルメディア『EconomyNext』より翻訳・編集してお伝えする。

中国はスリランカを救済しようとしている、?

スリランカのシャヘン・セマシンハ財務大臣は、「国際通貨基金(IMF)の理事会が29億米ドル(3,804億6,550万円)の融資を承認する上で、中国の債務保証についてコメントするのは必須ではあるが、時期尚早だと考えている」との見解を示した。

 

「スリランカは今のところ、インドからの文書による保証しか受けていないが、パリクラブ(フランス財務省で年に10回ほど開催される、債務返済困難に直面した債務国に対し、二国間公的債務の債務救済措置を取り決める非公式会合の呼称)のメンバーも口頭で債務保証の意志を表明しており、中国も近いうちに同様の保証をする見込みである」(セマシンハ財務大臣)

 

債権者たちがスリランカ政府と協議した手段としては、「債務一時停止、減額、借り換え」などがあると関係者は話した。

中国に対する疑惑

主要な債権者であるインドと米国はスリランカに対し、すべての債権者に対して「平等な扱い」を確保するよう求めている。スリランカ政府関係者は、「この呼びかけは、中国は返済を2年間猶予するとしているが、『減額』について同意するつもりがないのではないか、という疑念によるものだろう」と述べている。

 

「中国に対する疑惑について、その確証を得る前にコメントするのは時期尚早である。我々の立場から言えば、全ての債権者に対して透明で公平な対応をするつもりだ」とセマシンハ財務大臣は1月26日、EconomyNextのインタビューで語った。

インドや中国など主要国からの債務保証遅れ…

「インドからはすでに契約書を受け取っており、パリクラブがすぐに保証してくれることを期待している。そして中国からは部分的にではあるが確約されている。それらがIMFのパラメータに該当するかどうかは、IMFによって評価されている」

 

IMFによる29億米ドルの融資の承認は、スリランカにおけるすべての債権者からの債務保証に依存している。承認は昨年12月に予定されていたが、インドや中国を含む主要債権者からの債務保証が遅れたため、現状延期されている。

 

インドからの保証は1月中旬に行われたばかりだ。

 

「IMFの承認は、増税、消費の減少、ハイパーインフレ、可処分所得の減少、金利の上昇、雇用の喪失などの苦難から債務不履行となった国を開放するために不可欠である」とセマシンハ財務大臣は述べた。

 

「我々は、今が困難な時期であることを知っている。IMFの承認は、経済が危機的状況にある我々にとって非常に重要だ。大統領を中心とする新政権が誕生し、経済はある程度安定したが、本来我が国が持っているはずの潜在的な力を最大限に発揮するには至っていない」(セマシンハ財務大臣)

 

この記事は、GGOが提携するスリランカのメディア『EconomyNext』が2022年1月30日に掲載した記事「Sri Lanka state finmin: Premature to comment on allegations towards China on financial assurances
」を翻訳・編集したものです。

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