(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

全国旅行支援による個人消費増加などで、実質GDPは2四半期ぶりに増加

 

 

●2月14日に発表される10~12月期第1次速報値では、実質GDP成長率は前期比+0.7%程度、前期比年率+2.6%程度と、個人消費などが増加し、2四半期ぶりのプラス成長になると予測する。

 

●10~12月期実質GDP第1次速報値では内需前期比寄与度は+0.3%程度を予測する。内訳をみると、民間需要の寄与度が+0.4%程度のプラス寄与度、公的需要の寄与度は▲0.1%程度の寄与度と予測する。外需の前期比寄与度は+0.3程度になると予測した。

 

●個人消費の供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数の10~12月期・前期比は+2.9%の増加になった。一方、同じく供給サイドの関連データである非耐久消費財出荷指数は同▲1.0%の減少である。参考までに、商業販売額指数・小売業の10~12月期・前期比は+1.2%の増加になった。一方、需要サイドの関連データでは、家計調査・二人以上世帯・実質消費支出(除く住居等)の10~11月平均の対7~9月平均比は+1.4%の増加である。乗用車販売台数の10~12月期・前期比は+8.6%の増加になった。

 

●GDP統計の実質個人消費(家計最終消費支出)と関連性が高い消費総合指数(月次ベース)の10月対7~9月平均比は+0.3%の増加である。一方、家計最終消費支出の推移を様々な月次データによる時系列回帰モデルによって推測している総消費動向指数の10~11月平均の対7~9月平均比は+0.5%である。また、財とサービスに関する各種の販売・供給統計の月次データから算出している日銀の実質消費活動指数(旅行収支調整済)の10~11月平均の対7~9月平均比は+1.0%である。以上から総合的に考えると、10~12月期第1次速報値の個人消費は、前期比で+0.7%程度の増加になると予測した。全国旅行支援などの影響で、個人消費は前期比増加になり、GDPの押し上げ要因になったと予想される。

 

●設備投資の関連データである資本財出荷指数の10~12月期前期比は0.0%と横這いになった。また、資本財(除.輸送機械)出荷指数の10~12月期前期比は▲7.1%の減少になった。7~9月期は同+13.1%の増加であった反動もあろう。一方、建設財は同▲2.4%の減少である。GDP統計では、10~12月期の供給サイドから推計される実質設備投資は前期比▲0.3%程度の減少になると予測した。

 

●民間在庫変動の前期比寄与度は▲0.1%程度とみた。ARIMAモデルにより内閣府が7~9月期第二次速報値時点での情報を使って算出・公表した、10~12月期の原材料在庫の季調済実質値前期差は▲1兆7,422億円、仕掛品在庫の季調済実質値前期差は+977億円である。一方、鉱工業在庫指数の前期比は、7~9月期は+4.2%だったが、10~12月期は▲0.7%になったことなどを考慮した。

 

●実質輸出入の動向をみると、輸出の10~12月期前期比は+0.7%の増加になった。控除項目の輸入は同+0.5%の増加になっている。財のデータでみると10~12月期の外需(財)の前期比寄与度は若干のプラスになりそうだ。サービスも含めたGDPの輸出の10~12月期前期比は+0.8%の程度の増加、7~9月期が前期比+5.2%と高い伸び率だった反動が出るとみられる輸入は同▲0.8%程度の減少と予測した。10~12月期の外需の前期比寄与度は+0.3%程度になるとみる。

 

(2023年1月31日)

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2022年10~12月期実質GDP(第1次速報値)予測』を参照)。

 

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

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