(※写真はイメージです/PIXTA)

日本で少子高齢化が進むにつれ、資産の管理方法についても、深刻な社会問題になってきています。管理方法のひとつとして、認知症などで判断能力がなくなる前に、自分の財産の管理をする権限を家族に与えておける「家族信託」があります。本記事では、アパート経営者が家族信託を活用することのメリットとデメリットについて、司法書士の菱田陽介氏が解説します。

発展途上の制度である「家族信託」

家族信託という手法が徐々に存在感を増し、家族信託にまつわるビジネスも成長してくるなかで、信託であれば既存の問題をなんでもクリアできると錯覚されている方も多いと思う。当事務所への相談者でも、そのような方をお見受けすることがある。

 

当事務所においては90年の事業経歴のなかで相続、遺言執行、成年後見、信託の設計と信託の終了までを経験し、財産を管理、承継する現場に数多く携わっている。そこからみると日本の「家族信託」は発展途上の制度といえる。

 

信託の制度、法律の歴史は世界的にも古いが、日本において一般家庭の財産管理に活用できるようになったのは最近のことである。とはいえ、家族信託のおかげで恐れていた問題を回避できている方もいることも確かである。

 

成年後見人と違い、ランニングコストがかからない。裁判所の監督が無いということをメリットとして強く感じてはならない。お金もかからず、他人にあれこれといわれないほうが楽ではあるが、司法書士からみると、それはブレーキの無い車を選択して乗るようなものと思う。

 

現段階で望ましい家族信託は、信託の期間に応じて必要な家族や親族がいること。家族や親族の関係性が悪くないこと、理解・協力が得られることに加え、信頼できる第3者にアドバイザーになってもらい、受託者への支援を受けながら定期的な確認と、状況に応じて信託契約の内容変更を行える体制をつくることと考える。

 

かつての「家」制度は無くなったが、「家族信託」の普及により「家」の縁が強く結びつくきっかけとなれば日本独自の財産管理制度として、みなさんの生活に有益な法制度になり得るだろう。

 

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本記事は『アパート経営オンライン』内記事を一部抜粋、再編集したものです。

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