資産運用で失敗しないためには、まずはそれぞれの資産運用について詳しく知ることが重要です。投資未経験者の河合さんと一緒に見ていきましょう。
老後資産づくりは「株式長期投資」1択!
◆株式投資「ギャンブル的利用」の危うさ
河合さん:チンさん、Twitterとかネットの株式掲示板を見ると、売ったり買ったりを繰り返して儲けている人が多いですね。どうやったらうまくいくんですかね?
チンさん:株価は、将来の業績見通しによって激しく動きます。将来のことなんて誰もわからないから、見方や情報で大きく変わるんです。また、その時の雰囲気や人気によっても変わります。それらの動きを利用して、短期に儲ける手法もあります。ただし、誰もが儲かるわけではなくて、少数の大儲けする人と多数のそうでない人に分かれます。勝ち組には、株の取引を専門にしているプロが多く含まれることは言うまでもありません。
河合さん:そうですよね、普通の人には難しいと思います。でも儲かっている人を見るとすごく羨ましいんですよね。
チンさん:気持ちはわかります。誰でも経験しないうちはうまくいくと思いますよね。やってみてはじめて、うまくいかないことがわかる。でもね、資産運用にはそのような手法は全く必要ないんです。
河合さん:えっ、どういうことですか?
◆時間を味方に着実に増やす「長期投資」
チンさん:一言で言うと、短期で大儲けをしようとして、とても無理をしているのです。だからほんの少数の人しか成功できないんです。しかし、資産運用は時間を短期間に区切る必要はないので、長期で運用します。その場合は、売買を繰り返す必要はないんです。何十年と株を保有すればいいのです。そうすれば、会社の成長分は確実に増えていきます。これが資産運用の考え方です。
河合さん:長期と言っても、最後はどうなるんですか?
チンさん:日本では資産運用の歴史が浅いですが、欧米の資産家は何百年と資産運用をしています。それで何千億円以上もの資産を持っている資産家が大勢いるのです。確かに、日本と比べて、相続税が少ないということもありますね。
河合さん:そんなに持っている方がいるんですね! それでは使い切れませんよね? じゃあ、自分ではその資産を使わない場合もあるってことですか?
チンさん:自分で使うか使わないかは河合さんが決めてください。私はただ、長期の方が有利だと言いたいだけです。お子様がいらっしゃるなら、生前贈与や相続をしてもいいでしょうし。
河合さん:ずいぶん気長な話ですね。確かにそのくらいの気持ちになれば、あせって売買する必要はないですね。
【解説】長期投資を助けるインデックス投信
個別の会社への投資では会社の不振などで株価が下がり、その際に売ることで、投資が途切れます。しかしインデックス投信を使うことで長期での運用が容易になりました。特定の会社への投資ではないからです。
特に全世界への投資では自動的に投資対象を入れ替えてくれますから、地域や国を入れ替える必要がないので永久的に投資が可能です。コストも全世界型投信では買付手数料は無料で年間管理費用も0.1%ほどととても安いです(通常の株式投信では買付手数料がかかる場合があります。また年間管理費用の平均値は実質1.5%ほどです)。銘柄を選ぶ費用がいらないからです。また特定の会社や分野に投資する時のようなリスクもありません。
超長期での各資産運用のリターン
河合さん:チンさん、前に不動産投資は難しいというのは習いましたけど株式投資だけでいいんですか?
チンさん:はい、現預金以外は株式投資だけで十分です。下記の図表のグラフは過去211年の超長期での各資産運用のリターンを年率で表したものです。1802年から2012年までのデータです。インフレ率を除いた実質のリターンです。これによると現金は年率1.4%ずつ減っています。
対して増えているのは金が0.7%、債券が3.6%、株式が6.6%です。ですからこの期間では資産のうち20%ほどを株式で保有していれば、目減りは防げた計算です。それよりも株式の割合が増えれば資産は増えました。債券は3.6%と悪くないですが現在に限れば難しくておすすめできません。
チンさん:このグラフにはないですが、不動産に投資するリートも株式よりややリターンは劣りますが、株式の次におすすめです。どれをやるにしてもしっかり勉強してから自信を持って実行してください。
チンさん凡人投資家 兼 YouTuber