資産運用で失敗しないためには、まずはそれぞれの資産運用について詳しく知ることが重要です。投資未経験者の河合さんと一緒に見ていきましょう。
企業に投資すれば「経済成長」を取り込める
河合さん:不動産経営には憧れていたけど、普通の会社員では難しそうですね。がっかりです。
チンさん:確かに不動産投資は親からの土地を受け継いだ人や、借り入れが容易な公務員や大企業の社員が有利などの保有資産による格差はあります。でも属性が関係なくて有利な資産運用がありますよ。
河合さん:それは嬉しいです。
チンさん:それは株式投資です。各国ともに通貨の量を増やして、経済の規模を大きくしていきます。それに伴って各国の企業も成長していきます。ですから社会と企業の成長は比例して大きくなっていきます。それを表したのが図表1のグラフです。
河合さん:2つの折れ線グラフともに伸びていますね!
チンさん:世界のGDPと時価総額の合計を見るとほぼ比例していることがわかります。つまり企業に投資しておけば社会の経済の成長を取り込むことができるのです。企業への投資が株式投資です。
河合さん:なんとなくわかりました。しかし経済の成長は通貨の目減り分よりも大きいんですか?
チンさん:良い質問ですね。経済成長率(GDP成長率)には2種類あってそのままの数値のものとインフレ率を引いた実質経済成長率があるんです。そして実質でも長期では数%のプラスになっています。
図表2のグラフは米国の過去の実質GDPの推移ですが、着実に伸びていますね。
チンさん:下の図表3はIMFによる、前年と比べた実質GDPの実績と予想です。
チンさん:2020年はコロナの影響でマイナスになりましたが、その後力強く回復しました。
河合さん:確かにどこの国もプラスになっていますね。
チンさん:2022年にはコロナ対策での金融緩和や給付金の関係で各国ともにインフレが進んでいます。またロシアのウクライナへの軍事侵攻があり原油価格などが高騰しています。それらの影響で減速が予想されています。地域で見ると新興国の成長率が高めです。特にインドは若い人の割合が多くて成長が期待されています。
◆株価の伸びはGDPの伸びよりも大きい・大企業の生産性は高い
チンさん:各国のGDPの成長率はその国の総和です。その中には中小企業や少数の大企業があります。大企業の生産性は中小企業よりも高く、伸びも大きいです。米国のデータでは上位500社の利益の伸び率はそれ以外の企業よりも30%高かったそうです。日本でも大企業はどの分野でも中小企業よりも稼ぎがいいです。ところが日本では大企業は全体のわずか0.3%しかありません(製造業では従業員が300名以上、サービス業では100名以上)。その大企業の中でさらに一部の大企業の利益が大きいです。その国の大企業、優良企業の成長率は国全体の成長率よりも高いことがわかってもらえたでしょうか?
河合さん:はい、そりゃあもう大企業ではない会社に勤めている私にはわかりすぎるくらいよくわかりますよ。
チンさん:そして、日本では大企業への転職は簡単ではないですよね。新卒で入れば別だけど。
河合さん:そうですね。
チンさん:自分の希望する会社に転職が難しいのは日本の問題点だけど、大企業と関係を深くすることは難しい話ではないですよ。
河合さん:えっ、教えてください。
チンさん:それが超優良企業の株を買うことなんです。そうすれば株主になって会社の一部を所有するオーナーになれます。
河合さん:株を買うだけでオーナーなんですか。簡単すぎません?