(※写真はイメージです/PIXTA)

現状を不満に思う人は、それを変えるために声を上げます。一方、満足している人は、わざわざ声を上げることはありません。企業の商品開発の現場でも、政治でも「現状への不満」を聞き取る重要性が説かれる一方、現状に満足している「ものいわぬ層」がどれほどいるのかという点に思いをはせることが重要です。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

客のクレーム、商品改良に生かすのが難しいワケ

客のクレームを聞き、商品改良の参考にしている企業も多いのではないでしょうか。開発者が気づかなかった問題点に気づけるということから、客のクレームは大変有益なものであり、つらい思い、不愉快な思いをしても、役に立つ場合も多いはずです。

 

しかし、クレーム対応ばかりに気を取られていると、かえって客が減ってしまうという可能性もあるので、要注意です。

 

「お前の製品を買ったが、すぐ壊れた」というクレームを聞けば、壊れにくいように改良しようと考えるのが普通でしょうが、その結果として製品が重くなったりデザインが悪くなったりする可能性もあるでしょう。

 

それにより客が離れていくかもしれませんが、その場合、離れていく客がクレームをよこすわけではありません。「おたくの製品、重いしデザインも悪くなったから、もう買わない!」などと親切に教えてくれるわけではなく、静かにそっと離れていくので、製品開発の現場にはその声が届かないのです。

 

可能であれば、ライバル製品を買った顧客に「なぜわが社の製品ではなく、ライバル社の製品を買ったのですか?」と聞いてみたいところですね。

 

理屈は理解していただいたとしても、実際には黙っている人のことを考えるというのは難しいことだと思います。「言うは易く、行うは難し」で、筆者も滅多にできていませんが、時々は考えることがあります。皆さんも、時々でいいので、本稿を思い出していただければと思います。

 

今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。

 

筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「幻冬舎ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「幻冬舎ゴールドオンライン」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。

 

 

塚崎 公義
経済評論家

 

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