「すごい、高金利だ…」「日本とは違う…」ハイリスクな外国債、上手な買い方はあるの? (※写真はイメージです/PIXTA)

長らくゼロ金利が続いている日本。銀行口座にお金を置いているだけではまったく増えないどころか、インフレによって目減りするありさま…。そこで気になるのが、高金利の金融商品です。ハイリスクは承知のうえですが、どうしても気になる人に買い方のコツを伝授しましょう。自身もハイリスク投資を楽しんでいる、経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

リターンを狙うには、リスクを覚悟する必要あり

日本では、銀行に預金しても金利がほとんど付きませんが、世界を見渡せば金利が非常に高い国もあります。たとえばトルコの国債は高金利ですね。そうした国の国債を買って高い金利を受け取りたい、と考えている人も多いようですが、世の中はそれほど簡単にお金儲けできるところではありません。

 

一般論として、リターンを狙うにはリスクを覚悟する必要があります。「虎穴に入らずんば虎子を得ず」です。もし、仮に必ず儲かるような投資案件があったなら、読者が投資する前に大勢のプロたちが投資してしまうので、読者の前には出てこないでしょう。

 

そもそも、必ず儲かる商品を読者に売ってくれる人はどういう人でしょうか。よほどのお人好しでなければ、そんな商品を読者に売ってくれることはないでしょう。銀行や証券会社はそれほどお人好しではないでしょうから、売っている商品は必ず儲かる商品ではない、ということですね。その証拠に金融機関は「必ず儲かります」などとはいわないはずです。

 

余談ですが「必ず儲かる商品です」と言いながら読者に金融商品等の購入を持ちかける人がいるとしたら、それは必ず損する商品を売る詐欺師です。絶対に買ってはいけません。

高金利通貨の金利、なぜ高い?

筆者の好きな言葉に「相手の立場で考える」というものがあります。上記のように売り手の立場で考えるということも1つですが、高金利の国債を発行している外国政府の立場で考えてみることも有益です。

 

たとえばトルコ政府は、高金利の国債を発行して読者に購入を依頼する前に、世界中の金融機関等に借金を申し込んだはずです。それでもなお読者が高金利の国債を購入できるということは、世界中の金融機関に断られたからに違いありません。つまり、「トルコ政府に金を貸すことには大きなリスクがあるので、よほど高い金利を払ってくれるのでなければ金は貸したくない」と、世界中の金融機関が判断したということです。

 

筆者は、トルコの事情にはまったく詳しくありませんが、上記を考えただけでも、相当リスクが大きそうだ、ということが容易にわかります。トルコの通貨が暴落するリスクなのか、トルコ政府が借金を踏み倒すリスクなのかはわかりませんが、とにかく「なにしらかの大きなリスクがある」ということだけわかれば十分ですね。

高金利通貨はリスクが高いが、バクチとしては悪くない

上記のことから、トルコ国債はリスクが大きいから買うべきでない、という考え方もありますが、筆者は必ずしもそうは思いません。バクチとして買うなら面白いかもしれないからです。

 

投資家の多くは臆病(慎重?)ですから、100円儲かるか100円損するか五分五分だ、という場合には、投資をしません。110円儲かるか100円損するかが五分五分なら投資をする、という投資家が多いわけです。

 

そこで、大胆な(普通の投資家より慎重度合いが少しだけ少ない)投資家は、109円儲かるか100円損するかが五分五分だ、という投資案件を容易に見つけることができるというわけです。

 

とくに高金利通貨の国債は、高い確率で少し儲かるけれども低い確率で大きく損する、というものでしょうから、臆病な投資家は大いに嫌うはずで、その分だけ大胆な投資家は美味しい(期待値が大きなプラスである)投資案件に巡り合えるわけです。

米国人と日本人、それぞれにとってのリスクは違う

投資家にとってのリスクは一様ではありません。輸出企業の従業員は、円高になると賞与が減るでしょうから、円高になると儲かる(一方で円安になると損する)ような銘柄の株を買えばいいわけです。たとえば輸入原材料を多く使う企業の株ですね。普通の投資家にとっては、輸入企業の株を買うことはリスクですが、輸出企業の社員にとっては輸入企業の株を買うことがむしろリスクを減らしてくれる、というわけです。

 

それほど極端ではありませんが、日本人投資家と米国人投資家のトルコ国債投資のリスクには差があります。それは、為替リスクが違うからです。

 

日本人投資家にとっては、米国債投資もトルコ国債投資も為替リスクがあります。もちろん後者のリスクの方が遥かに大きいですが。一方で、米国人投資家にとっては、米国債投資は為替リスクがないので、トルコ国債投資とのリスクの差が大きいのです。

 

そこで、利回りの差が相当大きくないと米国人投資家はトルコ国債を買わないでしょうが、日本人投資家はそれより少し小さい利回りの差があれば、トルコ国債を買うかもしれません。日本人の方が米国人よりもトルコ国債を買っていたとしても、それはトルコが好きだから、というわけではないのですね(笑)。

 

トルコ国債への投資も悪くないと記してきましたが、最後に強調しておきたいのは、トルコ国債等への投資は、あくまでもバクチとして楽しむためであって、大事な老後資金を投じるべきではありません。カジノに老後資金を持っていく人はいないでしょうから、それと同じことですね。

 

本稿は以上ですが、資産運用等々は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。

 

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塚崎 公義
経済評論家

 

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    経済評論家

    1981年東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の仕事に従事したのち、2005年に退職して久留米大学へ。2022年4月に定年退職し、現在は経済評論家。

    著書に、『老後破産しないためのお金の教科書―年金・資産運用・相続の基礎知識』『初心者のための経済指標の見方・読み方 景気の先を読む力が身につく』(以上、東洋経済新報社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)、『経済暴論』『一番わかりやすい日本経済入門』(以上、河出書房新社)、『退職金貧乏 定年後の「お金」の話』『なぜ、バブルは繰り返されるか?』『大学の常識は、世間の非常識』(以上、祥伝社)など多数。

    趣味はFacebookとブログ。

    著者紹介

    連載経済評論家・塚崎公義氏が解説!したたかに生きる人の「老後資金問題」解決策

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