他人との差別化に必要なのは「創造」と「対話」
私は、投資において他人との差別化を図るのに必要なのは、「群集心理」とは正反対の概念である「創造」や「対話」であると考えます。自分で調査、勉強して出てきた投資のアイデアが革新につながり、価値を生み出すのです。
創造の初期段階では、100人いるうちの1人か2人くらいしか賛同を得られないかもしれません。「群集心理」とは対極にある状況です。「人の行く裏に道あり花の山」という相場格言がありますが、これは単に「人の真逆を行けば儲かる」という意味ではないように思います。
他人がどういう投資行動を取っていいたとしても、それに影響されることなく、十分な対話(リサーチ)と創造力をもって投資に臨むことで、他人よりも大きな利益を生み出す可能性があるということではないでしょうか。
懸念すべきは“投資のルーティーン化”
例えば、他人がインデックス投資をしているから自分もやるというのは、「群集心理」的な安心感は得られるかもしれません。また、資産運用的にも、ポートフォリオの一部をインデックス投資に回すのは間違ってはいないでしょう。
ただ、当然ですが、インデックス投資だけでは人よりも大きなリターンを得ることもありません。大きなリターンを得ようとするのであれば、「群集心理」に埋もれるのではなく、自ら投資のアイデアを創造する力が必要なのです。
かつては人の情報収集の能力や対話の能力、創造力、記憶力といった個々の能力によって、さまざまな部分で差別化が図られていました。時間的余裕があった時代は、得た情報をじっくりと吟味、精査することができていました。
それが、投資ツールの普及やインターネットやSNSの普及などの技術革新によって、時間的猶予が失われ、「いかに早く情報を入手し、行動に移すか」に重点が置かれるようになってしまっています。
あらかじめ決められたことを素早く実行し、それを繰り返すという"投資のルーティーン化”が広がることで、人の手による差別化の部分はどんどん削られます。こうして投資の画一化や投資スパンの短期化が進み、ますます金融市場のアンバランス化が加速しているのです。
河野眞一
株式会社エリュー 代表取締役CEO