本連載は、行政書士・尾久陽子氏の著書『定年直前から死んだあとまで。お金の手続きがすべてわかる本』(主婦と生活社)の中から一部を抜粋し、元気なうちに準備しておきたい「自分の死後」の手続きについて解説していきます。

今、自分が死んでしまったら・・・を想像する

自分が、いつ、どこで、どんなふうに亡くなるかは誰にもわかりません。今、この瞬間にこの世から旅立ってしまったらどのようなことが起きるか、難しいことですが、できる限り想像してみましょう。

 

たとえば電気代や電話代は使った分の後払いです。今、亡くなってしまったら、自分で払うことができません。このように、生きているうちに片づけられないことはたくさんあるのです。各種支払いと遺産の分割は「相続」にあたりますが、亡くなった直後には、さまざまな事務手続きが必要になります。これを全部まとめて「死後事務」といいます。

 

【図表】

 

自分の死後、通常は残された家族が手続きや遺品の整理、相続をします。配偶者も子どももいないひとり暮らしの人は、疎遠になっている親族か、最終的には自治体が死後事務をやることになります。

 

たとえ家族や頼れる人が近くにいたとしても、遺品は所持品だけではありません。趣味のサークル、ブログやフェイスブックなどのネット関係の交流も遺産となります。自分しかわからない個人情報もたくさんあるはずです。

自分の「死後事務」を依頼する2つの方法

自分が亡くなった後、確実に死後事務を実行してもらうためには、信頼できる人や弁護士などの専門家、死後事務専門業者などと「死後事務委任契約」を結ぶとよいでしょう。その方法は主に2つあります。

 

①「死後事務委任契約」を締結して、包括的に事務を依頼する
〈頼める人〉
●頼りになる友人や知人 
●弁護士や行政書士など専門家
●死後事務(終活支援)をしているNPO法人や公益法人、葬儀社など

〈依頼方法〉
●死後事務委任契約を締結する(契約内容により費用を預託する)

〈費用〉
●50万円程度(契約内容による)。専門家に契約書作成を依頼すると別途10万
円程度

②専門業者に生前予約する
葬儀社や霊園、遺品整理などの専門業者が生前予約を受けているので、パンフレットを見たり、現地を見学して、希望の業者に依頼する。

〈生前予約をしているサービスの例〉
葬儀 散骨 お墓 霊園 永代供養 遺品整理

 

いずれも生前の契約によって事前に依頼をし、費用を前払い(預託)します。自分が亡くなる前に受託者が倒産や解散してしまったり、お金を流用されたりすると確実に実行してもらえない危険性があるので、委託先の信用性や費用の妥当性などよく検討してから契約しましょう。

 

また、家族に内緒で死後事務委任契約をしていると、いざ葬儀や遺品整理を行うときに、それを知らない家族と業者との間でトラブルが起きる可能性があります。

 

死後事務委任契約を結んだときは、家族にもオープンにし、連絡先などを伝えておくことをおすすめします。

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