(※写真はイメージです/PIXTA)

東京商工リサーチの調査によると、2020年後継者難による会社の倒産は「370件」と過去最多にのぼり、年々「望まぬ廃業」が増えていることがわかります。その原因の多くは「後継者不足」ですが、永田町司法書士事務所の加陽麻里布氏は「無対策で社長が亡くなったために会社が倒産したり、急いで後継者になり借金を背負いこむケースが少なくない」といいます。いったいどういうことか、詳しくみていきましょう。

いますぐ「事業承継」の準備を

こういった事態にならないよう、中小企業の社長はいますぐに事業承継の準備をしていく必要があります。

 

いま元気でも、いま若くてもある日突然交通事故で……ということもあるわけです。人間いつどうなるかわかりませんので、自分がどうにかなってしまった場合にも会社が機能不全に陥らないよう最低限のことは準備をしておくべきです。

 

「後継者候補を決定し、育成し、交代する」というプロセスが踏めなかった場合でも、いますぐできることとしては、以下の3つが挙げられます。

 

1.最低限の権限移譲(支払い口座とパスワードの共有)
2.生命保険金の活用(受取人を会社にして一時金を確保する)
3.事業計画の策定と会社の財務状況・社長の個人保障内容を開示した資料の用意

 

事業承継に時間がある場合は「必ず株式承継」

また、十分に時間をとって事業承継していくうえでも、ポイントがいくつかあります。

 

事業承継というのは、家族承継でも家族以外の承継であっても必ず株式を承継させていくということがポイントになります。少なくとも過半数以上を承継しないと、後継者の士気低下に繋がります。

 

「株は渡さないが社長だけは譲る」となると、後継者に指名された側としてはただの“お飾り社長”になってしまいます。

 

また、そのまま社長が急逝するなど万が一のことがあった場合は、これまでお伝えしてきたようなリスクが生ずることになんら変わりありません。

 

後継者が安心して経営できるよう、株式は承継させることが1番のポイントです。

 

また、親族内承継の場合株式承継は必ず「1人」に集中させることが重要です。兄弟で細かな役割分担というのは揉め事の原因となりますし、喧嘩をするなどして会社の機能不全の原因になります。

 

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