社長が突然亡くなった際に考えられる「3つの問題」
中小企業の社長がある日突然亡くなってしまった場合、残された会社や家族はどうなってしまうのでしょうか。考えられることが「3つ」あります。
1.「業績悪化」のリスク
まず、社長の長期不在によって仕事が滞ってしまい、「業績悪化のリスク」というのが発生します。
社長が後継者を指名せずに亡くなってしまった場合、後継者が決まらないままトップが長期不在になってしまうため取引先を失い、会社の業績悪化につながってしまうことが考えられます。
2.「信用を失う」リスク
また、仕事や支払いが滞り信用を失ってしまうリスクというのが発生します。
創業社長が経営の実権をすべて握っているような中小企業においては、亡くなった途端すべての仕事が止まってしまう場合も現実としてあります。
3.株式を承継した相続人(家族)が「会社を解散させてしまう」リスク
そして、これが1番重要なところなんですが、株式を承継した相続人(家族)が会社を解散させてしまうというリスクもあります。
「創業社長=大株主」のパターンが多い中小企業においては、株式を相続した相続人の一存で会社を解散させてしまうというようなケースが実は多々あります。
会社は株主総会の決議によって解散させることができますが、株式を相続した相続人はこの株主の権利を行使して「会社の解散」を選択することができます。
特に、これまで経営に関わってこなかった親族は事業価値を判断することができないため「社長が亡くなった=会社は終了」と考えることもあるようです。
残された社員に待ち受ける「現実」
ネットバンクのパスワードもわからない、給料もない……
社長が会社の実験をすべて握っているような中小企業の場合、経理も社長が兼ねていることがあります。
社員は当然、ネットバンクのパスワードも知らなければ、数字も一切知らない……。社長が急逝したことにより、取引先への支払いをするため一時的に資金を集めなくてはならなくなるなど、突発的な業務に追われることになってしまいます。
また、社員は自身の「給料の支払いがしばらく滞ってしまう」ということも覚悟しなければなりません。
「会社の借金」を1人で負うことも
社長不在期間が長引いてしまうというのは取引先や銀行に悪影響であるため、「後継者の選任」がとにかく急かされます。
その結果、後継者になった社員がその後借金や個人保証で潰れてしまう危険性も出てきます。
中小企業は、銀行から借り入れをする場合は通常会社の代表者が個人保証(連帯保証)に入っている場合がほとんどで、後継者はこの「個人保証」も引き継がなければなりません。
そのため、普段から社員たちに数字の共有を行っていない会社において、社員が社長の急逝をきっかけに後継者として就任すると、これまでの会社の借金を社員が個人で保証しなければならなくなるという大変なリスクを背負うことになります。
後継者の選択を急かされ、迫られる状況下で、十分な判断時間もなく後継者になるとサインをしてしまうと、最悪自己破産にまで追い込まれてしまうケースもあります。
これは相続人においても同じことがいえます。
会社の状況や個人保証の内容を社長が家族に共有しておらず、家族がこれを把握していなかった場合、「亡くなったのであれば相続するのが当たり前」という考えのもと家族が相続を選択してしまうと、会社の借金と個人保障によって家族(相続人)が破産に追い込まれてしまう危険があるのです。