大幅利上げで長期金利上昇
■2022年の米欧の長期金利(10年国債利回り)は、予想外のインフレ高止まりや主要中銀による積極的な金融引き締めから大きく上昇しました。とはいえ、年末にかけては、利上げ効果の浸透による景況感の悪化や、利上げペースの鈍化を材料に市場では次第に買いが優勢となり、米長期金利は低下に転じました。
■日本の10年国債利回りは長らく0.1~0.2%台のレンジで推移してきましたが、日銀が大規模緩和を修正し、長期金利の変動許容幅を拡大した12月20日を機に急騰しました。
金利上昇や景況感悪化からハイイールド中心にスプレッドが拡大
■米国の社債利回りと米国債利回りの金利差(スプレッド)は米連邦準備制度理事会(FRB)による積極的な利上げに伴う金利の先高観や、景気の先行き不透明感から総じて拡大傾向で推移しました。
■中でも、信用力に劣るハイイールド債のスプレッドは、業績悪化による元利金支払いへの懸念が高まったこともあり大きく上昇しました。
今後の展開:米長期金利は徐々に低下する一方、日本では上昇圧力も
■米国の政策金利は2023年の前半には利上げの最終到達点であるターミナルレートまで引き上げられる可能性が高いため、市場では利下げに転じる政策転換の時期を巡り思惑が交錯することとなりそうです。加えて、これまでの積極的な利上げの効果が顕在化することで景況感の悪化やインフレの減速が鮮明になってくることで、米国の長期金利には徐々に低下圧力がかかってくるものと想定されます。
■一方、日本では、大規模緩和の更なる見直しへの思惑がくすぶる中、投機筋を中心に再び長期金利の変動許容幅の上限を試す動きが強まる可能性があり、長期金利の上昇圧力となりそうです。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【債券市場の振り返り】欧米の長期金利は利上げで上昇、日本も年末に急騰。今後の展開は?』を参照)。
三井住友DSアセットマネジメント株式会社