さらに、前ドテルテ政権の目玉政策・”Build Build Build,Link Link Link”という巨大交通インフラ開発は、現マルコス政権にも引き継がれました。1960年代から1980年代の日本の高度経済成長がそうであったように、インフラ特に交通インフラ整備が国の経済成長を力づよく押し上げます。日本で、新幹線網、首都高速道路、空港などの整備がされ、その礎の元に高度経済成長を実現したわけです。
インフラとは、ネットで調べると、生活や産業活動の基盤となっている施設と出てきます。「社会的基盤施設」または「社会資本」とされます。これは、公共的な機能を担う施設で、道路、治水施設、港湾、鉄道、公園、上下水道、通信施設、エネルギー供給施設などが含まれます。また、広義には、これら公共施設のほか、教育、医療、社会福祉などの社会サービスを提供するための施設を加えている場合もあります。まさに、経済、社会が成長・発展していく上で、必要不可欠なものと言っていいでしょう。
フィリピンでは、これらインフラ開発を促進するために、大胆な外資規制の緩和を実施しています。これまで、ネガティブリストという形で、外資の出資比率が厳しく制限されていたこれらインフラ分野ですが、通信など多くの分野で外資規制が撤廃されましたので、グローバル規模のインフラ企業やファンドがフィリピンに投資を開始していますし、今後大きな投資が入ってくると見られています。マルコス大統領もニューヨーク証券取引所はじめ世界を回って、フィリピンへの投資誘致活動を積極的に展開しています。
フィリピンでは、ビルドビルドビルド政策だけではなく、様々なインフラ整備が進められています。まさに、フィリピンは、高度経済成長の入口にたったといえるでしょう。筆者も今は、フィリピンにいることが多いわけですが、マニラ首都圏やセブでの鉄道、高速道路整備、都市開発などを目の当たりにすると、肌感覚としてもこのことを実感しています。
ただし、このインフラ整備を遂行するスキームとしては、ドテルテ政権の時とは違いPPP(PublicPrivatePartnership)をフル活用すると見らています。その背景としては、他国と同様に、コロナ禍での財政出動により、国の財政具体的には負債が増加したということです。
財政規律を見る上でよく使われる指標が、債務の対GDP比率ですが、フィリピンはコロナ前は、国の負債がGDP比40%程度保たれる健全財政でした。コロナ禍での様々な財政出動により、これが60%程度にまで上昇しました。フィリピン政府は、これを再びコロナ前の水準に戻していくことを政策課題の一つに掲げていますので、PPPの活用ということになっています。
ただ、フィリピンには、元々PPPを管轄する官庁もあり、歴史的に民間活力・資金の活用は行われてきました。電気・通信はもちろんですが、水道や道路、空港などの建設・運営も民間にが行っている例が、フィリピンでへ珍しくないです。
債務の対GDP比率が60%になったということで、フィリピン政府・中央銀行は財政規律の健全化という政策課題をあげているわけですが、日本のこの数字は、240%程度で、フィリピンの4倍です。日本国は、度々財政破綻懸念が湧き上がるギリシャと並んで、主要国で最大の債務対GDP比率となっています。
また、数字的に見ても、高度経済成長期への入口にきたということが見てとれます。今の日本の株式時価総額は、株価や為替によって変わりますが、ザクっと700兆円です。それに対して、フィリピンの株式時価総額は、約30兆円。これは、日本の1970年代初頭の時価総額に相当します。
1970年1月から日本の株価が最高値を記録した1989年12月までに、日本の株価は、高度経済成長の波に乗り、17倍程度になりました。その後、日本は、失われた30年に突入してしまうわけですが、それでも1970年1月と比べると10倍程度の水準にあります。
フィリピンでは、インフラ整備が進み、これからこのような本格的な成長ステージに入ると思われます。この長期経済成長の波に乗るというのが、一丁目一番地のフィリピン投資の魅力と言えるでしょう。
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