「サプライチェーンDX」のポイント
コロナ禍も追い風となり消費者はEコマース利用の増加など購買行動のデジタル化が進んでいます。また、消費者の趣味嗜好やライフスタイルが多様化しているため、欲しいモノや欲しいタイミングは1人ひとり異なっています。よって、企業は消費者のCX向上を提供するためにはパーソナライズされたアクションを取ることが必須条件になったと考えます。
【事例】商品に同梱するチラシによるマーケティング
しかし、さまざまな企業のマーケターの方々と対話するなかで、パーソナライズ施策を打ち出したいが「やりきった感」や「手詰まり感」を感じ悩まれていることを多く聞きました。
そのような悩みを解決する新たな施策として、私たちは印刷を活用したデータドリブンなアナログ施策(パーソナライズDMやパーソナライズ同梱物など)の可能性を信じ、デジタル&紙をシームレスに有効活用するDXでマーケティング効果最大化に向け事業者様と共創活動を継続しています。
共創のなかで消費者へよりホットなタイミングでかつ1人ひとりに最適な内容を印刷物で提供するうえでみえてきた課題もありました。商品に同梱するチラシなどの印刷物は印刷会社で印刷したものを物流会社へ配送するのが通常でしたが、そこには大きなタイムラグがあり消費者へホットなタイミングで提供できていませんでした。また、1人ひとり違った印刷物の同梱作業といった手間が増加する問題もありました。さらに1人ひとりに最適な内容を載せた印刷データ作成にかかる手間も増加する問題も顕在化しました。
私たちはシステム連携や新たなソリューション開発によるワークフローの自動化(我々自らの手を動かすことも含め)によるDXを実現して問題解決したのと同時に事業者と消費者のコミュニケーションに変革を起こしました。また、一部の事業者側の負担を皆無にするために自らの手を動かしたことでなにをデジタル化するべきかの本質的な課題を抽出することもできました。
この事例のように究極の自動化構想を突き詰めていくことで、印刷会社で印刷物を生産し配送するという既成概念に捉われなくても同梱現場で印刷を武器にしたプリントサービスを始めることができる未来を描くこともできました。これは、最適なCXを消費者に届けるためにサプライチェーン全体で捉えて最良のプロセスを考慮すると新たなプレーヤーやサービサーが誕生し、持続可能なビジネスへと成長できる期待が大いに持てることに繋がります。
本件は印刷利用のサプライチェーンの最適化の事例でしたが、ビジネス拡大に向けて変革を起こすサプライチェーンDXを実現するためには、消費者中心の企業のマーケティング(消費者との双方向コミュニケーションを活性化させるために最適なパーソナライズ体験を提供)を起点として、既成概念に捉われない最適化されたサプライチェーンの構想からデジタル技術を多いに活用してプロセスを構築していく必要があると私は考えています。
藤原 崇史
コニカミノルタ株式会社
AccurioDX BizDevリーダー