前回は、相続対策において「財産の棚卸」が重要となる理由を説明しました。今回は、所有財産を洗い出す方法を見ていきます。

棚卸に向けて、何が「資産」となるかを理解する

実際に財産の棚卸を進めるために、どのようなものが資産となるのかを理解しておく必要があります。一口に資産といっても、土地や建物、またはその権利関係、銀行預金口座、有価証券、貴金属からゴルフ会員権までさまざまなものがあります。相続としてみれば、「金銭に換えられることができるすべての資産」が財産となるのです。

 

資産についての詳細は下記の図表にも記載してありますが、前回述べたように、資産には、正の財産と負の財産があることを押さえておきましょう。

 

[図表]相続財産一覧

 

正の財産はプラスのお金が発生するもの。負の財産はマイナスのお金が発生するもの、つまり、借入金などがわかりやすい例です。相続ではこういったマイナスのお金も負の財産となるのです。

 

また、みなし相続財産というものがありますが、これがどういうものかというと、相続発生前には財産としてはなかったが、相続が発生したことによって得られることになる財産です。代表的なものは死亡保険金や死亡退職金です。相続発生前に受け取ることはありませんが、財産とみなすということです。

 

このようにいくつかの種類の資産を、漏れることなくすべて洗い出します。

多種多様の財産を持つ人は「税理士」に必ず相談を

実際に洗い出す時には、ほとんどの資産には明細書や証書がありますので、そちらを確認します。これはご本人であればわかっていることが多いかと思いますが、念のため確認しておきます。

 

定期預金なら郵送で満期日のはがきが届きますし、普通預金は通帳記入をすればわかります。株なら株主総会や配当金支払の通知が届くでしょう。配当は全部の銘柄にあるとは限らないので注意します。証券会社からも資産の明細が一年に一回以上、郵送で届くので株以外の運用商品もわかります。

 

土地や建物は固定資産税や都市計画税の納付書があるはずです。一年間、これを元に書類の確認を進めていけば、おおよその資産はわかります。

 

ただし、資産の大きさに関わらず、多種多様の資産を持っている人は、やはり税理士に相談しながら確認していくのが得策かもしれません。本人にしかわからないことや、本人でも忘れてしまっている資産がないかを聞き出すことも、税理士の仕事の範疇だからです。

本連載は、2013年8月2日刊行の書籍『相続財産を3代先まで残す方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

相続財産を3代先まで残す方法

相続財産を3代先まで残す方法

廣田 龍介

幻冬舎メディアコンサルティング

高齢化による老々相続、各々の権利主張、そして重い税負担…。 現代の相続には様々な問題が横たわり、その中で、骨肉の争いで泥沼にハマっていく一族もあれば、全員で一致団結して知恵を出し合い、先祖代々の資産を守っていく…

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