AI時代を生き残るために必須のスキルはプログラミング? 統計学?
ご存じの通り、科学技術の進歩により、社会は大きく変革しています。世界は、第四次産業革命に突入し、量子コンピュータやAI(人工知能)が研究・開発されています。量子コンピュータやAIは、金融、流通、医療など既存の技術の変革もさらに加速させています。これにより、創造的でない仕事は次々と機械に置き換えられていくという予測が現実味を帯び始めています。
90年代の後半、企業は本格的にパソコンの導入を推進し、インターネットが普及していきました。当時は、業務の電子化やインターネットについて懐疑的な意見も多くありましたが、現在はパソコンの普及どころか、スマートフォンがプライベートや仕事に浸透し、インターネットを使うことやデジタル化はもはや当たり前になっています。
過去の20年間で社会やビジネス環境は、すでに大きな変革を遂げています。量子コンピュータやAIが普及していく時代、社会やビジネスの変化が、より一層、加速していくことは明らかなのではないでしょうか。
経済産業省が2019年に発表した、理数系人材の産業界での活躍に向けた意見交換会の報告書『数理資本主義の時代 数学パワーが世界を変える』では、以下のように述べられています。
“この第四次産業革命を主導し、さらにその限界すら超えて先へと進むために、どうしても欠かすことのできない科学が、三つある。それは、第一に数学、第二に数学、そして第三に数学である!”
数理資本主義とは簡単にいうと、数学が国の富の源泉になるということです。AIの発展は深層学習(ディープラーニング)に支えられていますが、深層学習の背後にあるのは数学です。つまり、AIが深層学習の枠を超えてさらに進化するには数学が必要です。数学の重要性が強調される理由は、こうした将来のテクノロジーの背景に数学があるからです。数理資本主義の時代の報告書では、以下のように述べられています。
“第四次産業革命は、従来の改善・改良ではなく、破壊的(disruptive)なイノベーションが起きうる時代である。破壊的なイノベーションには、「モノや構造を支配する原理を見出す」ことが根本となる。”
こうした時代の流れを受け、小学校でもプログラミング教育が行われています。将来の人材は新しい時代に向けて準備を始めています。それでは、私たち大人はどうすればいいのでしょうか?
将来に備えてプログラミングや統計学を本格的に学ぶという選択肢もありますが、普段の仕事をしながら学ぶことは簡単ではありません。そうかといって、新しい技術に触れることやアンテナを高くしておくだけでは十分ではありません。本質を見抜く力を磨いておくことです。