(※写真はイメージです/PIXTA)

公的医療保険には、会社員などの被用者を対象とする健康保険、自営業者が地域で加入する国民健康保険があります。万一の際に加入者の生活を保障する重要な制度ですが、会社を退職したら国民健康保険への加入義務が発生するなど、加入者にも正しい理解が不可欠です。今回は、自営業者が加入する「国民健康保険」について見ていきます。自身もFP資格を持つ、公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

国民健康保険はどんな制度? だれが運営している?

国民健康保険は、協会けんぽや健康保険組合などに加入していない人を対象とする制度です。

 

国民健康保険は、都道府県が運営主体となっており、市区町村および国民健康保険組合の2つに分けられます。

 

国民健康保険組合は、医師や土木建築業などの同種の事業または業務に従事する人によって組織される法人であり、「医師、歯科医師、薬剤師、建設業など同種の事業または業務に従事する人」「国民健康保険組合が管轄する地区内に住所を有する人」を組合員として組織した法人です。

 

国民健康保険には、会社員の健康保険のような「被扶養者」という制度がなく、そのため、世帯主に扶養されている家族も、自ら被保険者として国民健康保険に加入しなければいけません。

 

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国民健康保険の「保険料」のシステム

会社員が会社を退職した場合、国民健康保険への加入手続が遅れたとしても、退職日の翌日から国民健康保険の保険料を支払わなければいけません。

 

国民健康保険の保険料は、市区町村、国民健康保険組合それぞれが決めており、保険料も異なっています。

 

保険料は前年の所得や家族構成などをもとに計算されますが、最高限度額が定められています。

 

世帯主に扶養されている家族も保険料を支払わなければいけませんが、扶養家族全員の保険料を世帯主がまとめて支払うこととなっています。

国民健康保険の保険事故および保険給付 

国民健康保険は健康保険と異なり、業務上の病気やケガであっても給付対象になります。これは、労災保険の加入義務がないからです。

 

保険給付には、療養給付、高額療養費、出産育児一時金、埋葬費などがありますが、健康保険とほぼ同様です。

 

ただし、ほとんどの都道府県において、休業補償の意味合いがある傷病手当金や出産手当金は支給されていません。

 

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国民健康保険の療養の給付を受ける際の「一部負担金」

療養給付を受ける人は、その費用のうち一定割合を「一部負担金」として医療機関に支払わなければなりません。

 

一部負担金の負担割合は、健康保険の自己負担と同じで、原則として医療費総額の3割です。

 

70歳以上75歳未満の人は原則として2割、義務教育就学前の児童も2割となっています。

 

[図表]国保(自営業者)と健保(会社員)の相違点

 

 

岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士

 

 

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