(※画像はイメージです/PIXTA)

行動制限が緩和され、低迷する飲食業界に一筋の光明が差してきました。さらにインバウンド需要の高まりも見られ、コロナ禍からの本格的な回復も期待されています。しかしそのタイミングで、飲食業界では今まで以上に勝ち負けがはっきりするという予測も。みていきましょう。

飲食業で進むDX~すかいらーく有価証券報告書より

企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)への関心が高まっています。デロイトトーマツグループが有価証券報告書にて経営方針や経営戦略などを説明する項目「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」において記載があったワードを分析したところ、2022年に「DX」の記載があった企業は768社。前年548社から1.4倍となりました。

 

2020年から2021年にかけては4.8倍だったので、増加率では落ち着いてきたものの、経営においてDXが重要視される項目であることには変わりはありません。特にコロナ禍では、経済活動の制限に対応するために、デジタルシフトが進んでいます。その代表例が、全国でガストなどのファミリーレストランを運営する「すかいらーくホールディングス(以下すかいらーく)」。

 

有価証券報告書(第11期 令和3年1月1日〜令和3年12月31日)を確認すると、「DX」というワードは12回、それに伴う「生産性」というワードは22回登場。すかいらーくにおいて、DX推進が重要課題であることがうかがえます。

 

DX推進の具体例として、主要ブランド約2,400店舗に導入を完了した「デジタルメニューブック」や、2022年度を通し約3,000台まで増やすとする「フロアサービスロボット」、約1,000店舗に導入予定の「キャッシュレスセルフレジ」と、実際に来店時に体験したこともあるだろう施策も。またアプリではテイクアウト機能「モバイルオーダー・決済」を導入し、店舗での客の待ち時間を約90%削減、従業員が注文に対応する時間も大幅な削減が可能になったといいます。

 

IRレポートで既存店の売上高と客単価の推移をみていくと、2022年4月以降は前年比プラスに推移(図表)。これは行動制限解除が大きな要因と考えられ、DX推進の効果がどれほど起因しているかの判断は難しいところ。ただIR資料にも「顧客の待ち時間短縮」「顧客満足度向上」「従業員の生産性向上に効果あり」という言葉が踊っていることから、DX推進の効果は確実に好影響を与えていることがうかがえます。

 

出所:すかいらーくホールディングスIR資料より作成
【図表】すかいらーくホールディングス売上/客単価前年比推移 出所:すかいらーくホールディングスIR資料より作成

 

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