(※写真はイメージです/PIXTA)

厚生労働省によると、老齢厚生年金の平均受給額は「14.6万円」と、退職後に年金だけで暮らすのはたいへん厳しい時代であり、一生働かなければならないのかと落胆してしまいます。そこで今回、牧野FP事務所の牧野寿和CFPが、「年金受給額を少しでも増やせないか」と事務所へ相談に来た63歳男性Iさんの事例をもとに、年金受給額を増やす方法を解説します。

Iさんの年金受給額を増やす方法

Iさん夫婦の年齢から年金受給額を増やすには、次の2つの方法があります。

 

1.年金の受給開始を繰下げる
2.65歳以降も会社で働き、収入と厚生年金の受給額を増やす

 

この2点とのちほど詳述する「家計支出見直し」で、お金の心配のない老後を過ごすことができるでしょう。以下で各項目について詳しくみていきます。

年金の受給開始時期を繰下げる

老齢基礎年金と老齢厚生年金は、本年(令和4年)4月から、受給開始時期を60歳から75歳まで選べるようになりました。ここでは、Iさんが、本来受給を開始する65歳から「繰下げ加算」して受給するケースをみていきます。

 

【Iさんが繰下げ加算された年金を受給するときのポイント5つ】

1. 繰下げる基準年齢は65歳
2. 1ヵ月ごとに繰下げ0.7%ずつ受給額が加算される
3. 繰下げ加算した年金を受給できるのは66歳から。65歳から1年間は受給できない
4. 「老齢厚生年金」と「老齢基礎年金」は、同時にまたは別々に繰下げ受給できる
5. 繰下げ期間中に、一括して65歳からの年金を受給できる


上記の5ポイントのうち、3~5について詳しくみていきます。

 

繰下げ加算した年金の受給開始は66歳から。65歳から1年間は受給できない

図表3]のように、Iさんが月14万円の年金を、70歳0ヵ月から繰下げ加算して受給すると、14万円×42.0%=19万8,800円となります。繰下げ受給をすれば、この金額で生涯受給できます。75歳まで繰下げれば84.0%加算されますが、Iさんの場合には現実的ではありません。

 

[図表3]繰下げ加算して受給するその歳ごとの0ヵ月の増額率

 

老齢厚生年金と老齢基礎年金を、同時にまたは別々に繰下げ受給できる

加給年金や振替加算は増額の対象になりませんので注意が必要です。また、老齢厚生年金の繰下げ待機期間中(年金を受け取っていない期間)は受け取ることができません。

 

Iさんの場合、奥さんと3歳離れているので、加給年金は3年間で116万6,700円(38万8,900円×3)受給することができますが、70歳まで老齢厚生年金を繰下げて受給しようとすると加給年金は受給できないということになります。老齢基礎年金だけ繰下げて、老齢厚生年金は65歳から受給するということであれば、加給年金も受給できます。

 

繰下げ期間中に、一括して65歳からの年金を受給できる

Iさんが70歳まで繰下げ加算の申請をした場合、待機期間の69歳に急にまとまったお金が必要になったら、65歳からその歳までの年金を一括して受給することができます。そうした場合、その後の年金受給額は65歳の受給額になります。

 

ただし一括して受給する場合、その年の納税面で注意が必要な場合があります。詳しくは、所轄の税務署や市区町村役場におたずねください。

 

そのほか、厚生年金基金や企業年金連合会からの企業年金も、老齢厚生年金を繰下げすればともに繰下げ増額となり手続きが必要です。

 

また、特別支給の老齢厚生年金には「繰下げ制度」はありませんので、受給できる年齢の誕生日が来たら年金事務所で申請し受給することになります
※ 年金の繰下げ受給(日本年金機構HP)
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-02.html

 

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