(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産所有者が亡くなった際に、登記名義を変更する相続登記。面倒がって放置していると、のちのち思わぬ憂き目に遭うかもしれません。今回は優司法書士法人、上村拓郎代表のもとへ相談のあった、兄が行方不明となったことで、弟が亡父名義の不動産を売却できなくなってしまった事例を紹介します。
※本連載は、上村拓郎氏の著書『相続をちょっとシンプルに: 気づきをうながすためのケアフル相続入門』(灯光舎)から一部を抜粋し、幻冬舎ゴールドオンライン編集部が本文を一部改変しております。

「相続登記」は面倒だが…

「あなたの家」とするためには、法的にあなたの所有物だと証明する必要があります。みなさんの(おそらく)嫌いな法的な手続きです。お気持ちはわかります。こういった事項を日常生活で避けるのはもっともです。手続きをするには時間と労力を必要とし、そしていろいろな費用がかかります。専門家に依頼するときは当然その費用も発生します。

 

「別にする必要はないでしょう」と相続登記について「実感」をもてる人は少ないと思います。しかし、費用や時間をかけてでも、現在の名義を調べておくだけでもしたほうがよい。それは、あなたのためでもあり、将来(次世代)のためでもあるのです。これからの内容は相続登記の仕方を説明するわけではなく、相続登記がどの程度私たちの生活に関わることなのか、それを無視しているとどういったことがあるのかを考えてみたいと思います。また考えてもらうきっかけとなるように事例をご紹介します。

 

その前に、相続登記について簡単に説明をしておきます。相続登記とは、不動産所有者が亡くなった際に、その相続人名義に登記名義を変更する所有権移転登記のことを言います。ざっくりいうと、現在あなたが住んでいる、あるいはもっている土地・建物の所有権利をあなたが指名する人もしくは、相続人間で話し合って引き継いでいく人のものであることを公にするということです。

 

親の代から住み続けていた家を売却したい

今住んでいる家をさまざまな理由から売りたいなと思ったとしましょう。例えば、親の代から住み続けていた家から新しい家に引っ越すときに、今の家を売却したいと思い不動産屋さんに行ったとします。駅も近いし、進学校もある、部屋数も多いからファミリーに需要があるかもしれないと期待をふくらますあなたは、必ず一つの壁にぶち当たります。

 

これが再三申し上げている家の登記はだれかということです。では、もし登記があなたではなく、ご両親やほかの家族だったとしたら「相続登記をすればいいんでしょ」と簡単に思われるかもしれませんが、そうは問屋が卸さないことは多々あるのです。

次ページ相続人のひとりである兄が行方不明となった場合の「相続登記」

※本連載は、上村拓郎氏の著書『相続をちょっとシンプルに: 気づきをうながすためのケアフル相続入門』(灯光舎)より一部を抜粋・再編集したものです。

相続をちょっとシンプルに 気づきをうながすためのケアフル相続入門

相続をちょっとシンプルに 気づきをうながすためのケアフル相続入門

上村 拓郎

灯光舎

自分だけでなく、家族や身のまわりの人たちと一緒に相続を考えるきっかけにしてもらいたい本。 本書は、相続対策の実務よりも、まずは相続を知るために「読む」ことを意識した相続エッセイです。相続は発生してからではなく、…

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