(※写真はイメージです/PIXTA)

2022年現在、相続という言葉は非常にメジャーになり、お盆や年末年始になれば、週刊誌の目玉テーマとして取り上げられるようになりました。しかしこのような状況になったのは、実は最近10年間程度ということをご存知でしょうか。実はこの10年間に相続に関わる法律・税制や年金制度などの改正、終身雇用制の崩壊に伴う所得減少と将来への不安、そして日本人の家族観や相続に関する考え方が大きく変化しているのです。

「財産総額5000万円“以下”の相続」で争いが多いワケ

2018年の司法統計年報によれば、遺産分割事件の約77%が財産総額5000万円以下の相続で起こっています。その理由は、財産金額が低い家族ほど財産を分けることが難しいからです。

 

特に①兄弟がいる、②親が自宅を所有している、③その自宅に子供家族が一緒に同居している、④その自宅を同居する子供家族が優先的に相続したいという場合には自宅を相続する子供の財産割合が非常に大きくなります。

 

またそれを現金にて調整する方法もありますが、多額の現金を支払えるケースは少ないため、折り合いがつかず争いに発展するのです。

 

またそれに追い打ちをかけるように、前述した2015年の相続税法改正によって、相続税課税が強化されました。東京では5人に1人が相続税の対象になり、納税への不安も大きくなりました。

 

国も2010年以降の大きな変化に対応するために、2018年には40年ぶりの民法改正を施行して、法制度もそれに備える環境を整えました。しかしそれを活用する人々自身がその変更内容に頭がついていかない状況です。

 

 

佐藤 良久

GSRコンサルティング株式会社 代表取締役

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『そうだったのか! 相続のトリセツ』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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