「臭い」で分かる腸内の状態とは?
本連載では、乳酸菌生産物質の活用法も含め、私が実践している整腸法を中心に、腸を健康にする生活習慣のポイントをお話しします。
腸の健康状態を最もよく表しているのが「便通」です。腸内で悪玉菌が優勢になると、腸に入ってきた消化物を腐敗させてしまいます。そうすると便秘になりやすくなったり、出てきた便の色や形が明らかに悪くなったりします。
便は出さえすればよいと、排便後にすぐ流してしまう人は、腸が発するSOSをみすみす見逃しているかもしれません。私は、前の日やその前の日に食べたものを思い出しながら、必ず色や形状を確認しています。
便のチェックで一番大切なポイントは「臭い」です。排便して便器に落ちるまでの、1秒足らずの間に、便の臭いは感じ取れます。この臭いは腸内にて発酵した菌の発散する独自のものです。その人の持っている腸内フローラによって、同じ食べ物を食べても微妙に異なった臭いになります。
ご自分の便の臭いによって、何を食べたときの臭いか判断できるようになればしめたものです。腸内フローラの調子を判断できますし、健康のために何を食べ、何を食べてはいけないかを判断できるようにもなるからです。
私は長年、菌の培養に携わっていて、菌の発する臭いを大変重要視しています。微妙な違いを見逃すことは許されません。菌が私に発酵の良し悪しを伝えてくれているのだと、ありがたく思っています。みなさんも、臭いのチェックはぜひ行ってみてください。
歳をとるとともに、便通や便の状態が不安定に…
便の太さも、発酵状態の良し悪しを示しますので、よく見るようにしています。腸の中で良好な発酵が行われていると、便は太くなります。直径2.5~3㎝のバナナ状が理想といったところでしょうか。
加えて、たくさんの気泡がついています。これは発酵が盛んに行われているあらわれなのです。排便後にわざわざ、気泡の有無まで観察するなんて、と思われるかもしれませんが、一度じっくり見てみてください。なお、水に浮くか浮かないかは、腸の健康には直接関係ありません。
便は、腸が消化物を発酵させた結果つくられるもの、と考えれば、歳をとるとともに便通や便の状態が不安定になり、若いころほどには良くなくなるのも頷けます。つまり、大腸の発酵タンクが言ってみれば老朽化しているからそうなるのです。
それは、発酵させるための腸内フローラからの生産物質が減るために、発酵タンクの働きが悪くなっていることを意味します。だからこそ、生産物質をつくる能力を落とさないようにするために、普段から大腸の発酵タンクをメンテナンスすることが大切です。
それには、普段の生活習慣を見直すことが第一ではありますが、身体の外から乳酸菌生産物質を補充することも、効率よく大腸の発酵タンクの働きを整える大きな助けとなります。
【図表】便のチェック方法