岸田総理の目玉政策「賃上げ税制」7割の企業は無関係…それでも高まる「賃上げ圧力」に中小企業の悲鳴

岸田総理の目玉政策「賃上げ税制」7割の企業は無関係…それでも高まる「賃上げ圧力」に中小企業の悲鳴
(※画像はイメージです/PIXTA)

天井の見えない物価高に、従業員から賃上げの要望が高まり、企業側としても「賃上げせざるを得ない」という状況に置かれています。賃上げに関しては優遇制度もあり、国も後押し。しかしそれ以上に、中小企業は厳しい経営環境に置かれています。みていきましょう。

中小企業の8割が「賃上げ」の意向

東京商工リサーチが2022年10月3日〜12日にインターネットによるアンケート調査(有効回答4,433社)を行ったところによると、2023年度に賃上げを実施する予定の企業は81.6%。前年度よりは0.9ポイント下落したものの、2連続で8割台と、コロナ前の水準を維持しているとしました。規模別でみていくと、大企業の実施予定は85.1%に対し、中小企業は81.2%と、約4ポイント下回っています。

 

【賃上げの実施動向】

2016年度:80.1%

2017年度:82.7%

2018年度:82.2%

2019年度:80.9%

2020年度:57.5%

2021年度:70.4%

2022年度:82.5%

2023年度:81.5%

 

【賃上げの内容】

※複数回答

※数値左:大企業、右:中小企業

定期昇給:348社/2,538社

ベースアップ:152社/1,261社

賞与(一時金)の増額:116社/1,220社

新卒者の初任給の増額:107社/476社

再雇用者の賃金の増額:32社/225社

 

出所:東京商工リサーチ

 

賃上げに関しては、岸田総理の目玉政策とされる「賃上げ税制(正式名称:賃上げ促進税制)」が思い出されます。この制度は、長期的な視点に立って一人ひとりへの積極的な賃上げを促すことを狙ったもので、前年度よりも給与を増額した企業に対し、増加分に応じた法人税額の控除を受けられる制度です。

 

控除を受けるためにはいくつかの要件がありますが、中小企業の場合、雇用者への給与等支給額が、前年度と比べて「1.5%以上増加していること」が条件です。

 

(雇用者給与等支給額(適用年度)-比較雇用者給与支給額(前事業年度))÷比較雇用者給与等支給額(前事業年度)≧1.5%

 

さらに賃上げ税制は、通常要件と上乗せ要件の二段構えになっています。上乗せ要件には、雇用者給与等支給額のさらなる増加と、教育訓練費用の増加の2つがあり、中小企業の場合は、雇用者給与等支給額が前年度と比べて2.5%以上増加していると、さらに15%の控除が受けられます。

 

また外部講師を招いた講習やセミナーの実施や、技術研修会の参加など、職務に必要な技術や知識を習得・向上させるための教育訓練の費用が、前年度と比べて10%以上増加している場合も、さらに10%の控除が受けられます。

 

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