(※写真はイメージです/PIXTA)

超高齢化社会の日本。「悠々自適な老後」を送れる人はひと握りで、多くの高齢者は少なからず自身の将来に不安を抱いています。ただ、牧野FP事務所合同会社の代表社員である牧野寿和氏は、国の制度を知ることで将来の不安を低減できるといいます。今回、ひとり暮らしのKさん(70歳・女性)の事例から、日本の高齢者がおかれている厳しい現実と、そのような人を救うための国の「セーフティネット」の存在をみていきましょう。

でも、Kさんは「安心」できたワケ

Kさんはその夜、大好きなお風呂にゆっくり入って、福祉事務所の担当者からの話を思い出しながら整理していました。

 

私のこれまでの収入で70歳まで生活できてきた。これから、無理はできないけど、すぐに働けなくなることはなさそうだし、お金も十分でないけどある。

 

そこで、Kさんは気が付いたのです。

 

だから、このままの生活を続けても地獄ではない!

 

もし、働くこともできなくなり、貯蓄が底をつき、年金だけの月額7万円の収入の生活になったら、きょうの福祉事務所での話だと、私の「最低生活費」は13万円くらいだそうだから、生活保護制度のお世話になれるだろう。

 

Kさんは「安心」できました。これで、Kさんのセーフティネットが完成したのです。

 

Kさんは、福祉事務所に行ってよかったと思いました。いまのところ利用する予定はないけれど、生活保護制度や生活福祉資金貸付制度について、知っておくだけでもよかったと思ったのです。

 

ひとり暮らしをしていても、ひとりだけで考えるだけではなく、相談するところはあるのです。Kさんは、これからは行政機関の専門的な知識を持った職員の人にも積極的にお世話になろう。それが私の生活の「安心」につながる。と結論つけたのでした。

 

ところで、Kさんはふっと思ったのです。「なぜ、アパートの大家さんは、私に生活保護の話をしたのかしら?」

 

Kさんは思わず微笑みました。大家さんは「保護費」で家賃が入れば、取り損なうことはない……生活保護は、大家さんにとっても「セーフティネット」だったのです。

 

 

牧野 寿和

牧野FP事務所合同会社

代表社員
 

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