将来は、生き地獄が待っている?
Kさんは、福祉事務所の担当者から、専門用語を使うことなく、かみ砕いた言葉でわかりやすく、生活保護制度について教えてもらいました。
Kさんは、まず生活保護制度は、ありとあらゆる自助努力した末に適用される制度だと知りました。そして、「保護費」が次の①②のように支給されることを知りました。
①厚生労働大臣が定める基準で地域や世帯の状況によっても異なる「最低生活費」と年金などの「収入」を比較して、「収入」が、「最低生活費」に満たない分を、「保護費」として支給される制度であること
②「保護費」には、食費・被服費・光熱費といった日常生活に必要な費用、アパートなどの家賃(家賃の上限が決められるので入居できる物件が限られる)、医療や介護サービスの費用(詳細は省略するが、国民健康保険・介護保険の保険料の本人負担はない)などが含まれること
参考:厚生労働省HP「生活保護制度」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/index.html
現在のKさんの家計を当てはめると、図表4のようなイメージになります。
Kさんにとって、生活保護の制度は、一見魅力的にも思えました。しかし、現状では、年金とアルバイト収入が「最低生活費」を超えている。しかも高額の貯蓄があり、生活保護制度の対象にはならないとのことでした。
なお、参考として、もし生活保護を受けるなら、いまKさんが住んでいるアパートの家賃は、「保護費」の対象になる金額とのことでした。
また、Kさんは、福祉事務所の担当者から、将来、万が一お金を借りることが必要になった時のために、低所得者や高齢者など向けの「生活福祉資金貸付制度」についても説明も受けました。しかし、Kさんはいままで一度もお金を借りたことはなく、またこれからもお金を借りる気もありません。
参考:厚生労働省HP「生活福祉資金貸付制度」
Kさんは、軽い気持ちで話を聞きに福祉事務所に行ったのでした。しかし、帰る道すがら、目先の小売物価がどんどん上昇しているのに、これ以上収入は増やすことはできない。貯蓄も目減りしていく一方。人のことはいいたくはないけど、なぜ、私より収入も貯蓄も少ない人の方が、生活保護が受けられるの? 私は、「死ぬまで抜け出せない」生き地獄……。Kさんは悲しくなってしまったのでした。