(※画像はイメージです/PIXTA)

国税庁は2022年10月7日、サラリーマンの副業収入について「事業所得」と「雑所得」のどちらにあたるかの基準として、「帳簿の有無」を軸として実質的に判断するという通達を出しました。これは、同年8月に出していた「年間収入300万円以下」を「雑所得」と扱う改定案を撤回したものです。本記事では、副業を「事業所得」として申告することのメリットと注意点について、国税庁が問題視している点を含め、解説します。

副業を「事業所得」で申告する2つのメリット

まず、副業の収入を「事業所得」として申告することによる得られる2つのメリットについて解説します。

 

副業の収入は「事業所得」または「雑所得」のいずれかとして申告することになります。両者の所得金額の計算式は以下の通り、まったく同じです。

 

・事業所得:収入金額-必要経費

・雑所得:収入金額-必要経費

 

しかし、事業所得の場合、雑所得には認められない以下の2つのメリットがあります。

 

1.赤字が出たら他の所得から差し引くことができる(損益通算)

2.青色申告による種々の特典を受けられる

 

それぞれについて解説します。

 

メリット1.赤字が出たら他の所得から差し引くことができる(損益通算)

まず、赤字が出たら他の所得から差し引くことができます。

 

これを「損益通算」といいます。

 

たとえば、副業を事業所得として申告し、そこでマイナスが発生すれば、同じ年度の給与所得から差し引くことができ、その分、所得税・住民税が低くなります。

 

副業で起業して最初のうちは、費用がかさんでなかなか利益が出せないことがあります。また、手持ちのキャッシュはできるだけ温存したいものです。

 

そういう場合に、事業所得の損益通算を使えると、大いに助かります。

 

事業所得以外で損益通算が認められている所得類型は、「不動産所得」「山林所得」と、「譲渡所得」の一部のみです。

 

「雑所得」だと、副業でマイナスが出ても損益通算ができないので、事業所得よりも不利になってしまうのです。

 

メリット2.青色申告による特典を受けられる

また、事業所得の場合、「青色申告」を行うことにより、主に以下の5つの特典を受けることができます。

 

・「青色申告特別控除」を受けられる(最高65万円)

・家族への給与を必要経費に算入できる(青色事業専従者給与

・1つ30万円未満・総額300万円以内の資産の取得費を全額即時償却できる(少額減価償却資産の特例

・マイナスが出たら翌年度以降3年間の所得金額から差し引ける(繰り越し控除

・マイナスが出たら前年度の所得金額から差し引いて、支払った税金から還付を受けられる(繰り戻し還付

 

事業所得以外で「青色申告」ができるのは「不動産所得」「山林所得」くらいしかなく、「雑所得」とされると、これらの特典も受けられないことになります。

 

このように、副業の収入が「事業所得」と「雑所得」とどちらにあたるかは大きな違いを生むのです。

 

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