(※写真はイメージです/PIXTA)

普段、何気なく使用している言葉が、じつはチームの「心理的安全性」を下げている「NG言葉」かもしれない──いつものひと言を変えることで、会話が増え、チャレンジが始まる。そして、チームが変わる。「心理的安全性」とは、「誰もが率直に、思ったことを言い合える」ことを指し、1965年にはすでに存在していた言葉でした。その後、2016年に米グーグル社が再発見、効果的なチームにとって「圧倒的に重要」と結論づけ、注目を集めました。本連載では、書籍『最高のチームはみんな使っている 心理的安全性をつくる言葉55』(原田将嗣著、石井遼介監修、飛鳥新社)から一部を抜粋転載し、いま大注目の「心理的安全性」についてご紹介します。

 

なんとかします!▷▷正直、困りましたねえ

心理的安全性の高い関係といえども、商談にはもちろん交渉事がつきもの。価格交渉の際などは、厳しい要望がお客さまから出ることもあります。

 

セールスパーソンなら、「成約できるのならなんとか可能な価格にしたい」と思うもの。つい「なんとかします!」と言って、会社に持ち帰る……私も経験があります。

 

けれども、価格交渉の場面でも、お客さまとパートナーとなる関係が築ければ「私vsあなた」の対立構造ではなく「課題vs私たち」の構図がつくれます。それがこの言葉であり、いわば「一緒に困る」ためのフレーズです。

 

「価格」という課題に対して、一緒に考えていく「私たち視点」が持てれば、最後の詰めでシビアなやりとりがあったとしても、成約後の関係性を「パートナーシップ」に変えていくことができます。価格交渉の場ですら、関係性を築くためのきっかけにするのが、この言葉の力です。

 

「このサービスの通常コースの価格帯は、わかりました。予算的にはもう少し抑えていきたいのですが、価格は相談できるのでしょうか?」

 

「そうですか。ご予算はおいくらで考えていらっしゃいますか?」

 

「今年度の予算は50万円で考えています」

 

「そうでしたか。半額となると……正直、困りましたねぇ……(にこやかに)」

 

「……その代わりといってはなんですが、例えば……」

 

このようにストレートに伝えるのは、勇気がいることです。それでも、駆け引きではなく、できるフリをせず、お互いに実際のところが伝わることが「お客さまと心理的安全性の高いパートナー」関係を築くための、大切なステップです。

時には「失注する勇気」を持とう

できもしない約束をして、後で揉めてしまうよりも、あるいは、説得して無理やり売り込もうとするよりも、お客さまと真摯に話して一緒に困って、それでも難しければ「ごめんなさい、今回は難しそうですね」と「失注する勇気」を持つことが大切です。そのほうが、結果的に商談がスムーズに進んだり、「いい関係で失注」できたりするでしょう。

 

今回は難しくとも、「実は、御社とやりたくて、今期は頑張って予算を確保しました!」と半年後にご連絡をいただけることもあります。

自己開示をすることで、相手も自己開示がしやすくなる

チームの中で心理的安全性を高めていくためには「自己開示」が有効です。なぜなら、自分の考えや状況を伝えることで、相手に察することや忖度することを要求せずに済むからです。開示すること・伝えることで、相手の不安が減る効果があると言ってもいいでしょう。それはお客さまや取引先でも同じです。

 

私も商談の場で、予算やスケジュールなどの難しい要望が出ると、「ぶっちゃけて言いますと………」と話しています(にこやかに言うのがポイントです)。すると、お客さまも「ではこちらも、ぶっちゃけちゃいますと………」と言ってくださることも多いです。

 

商談中に困ったとき、なるべく「持ち帰って検討します」とは言わないようにします。その場で、自分の意見として本音で話すことが大事だからです。「今の時点での私の考えとしては………」という前向きなフレーズで自分の考えや状況認識を話していきましょう。

 

 

最高のチームはみんな使っている 心理的安全性をつくる言葉55

最高のチームはみんな使っている 心理的安全性をつくる言葉55

原田 将嗣 石井 遼介 監修

飛鳥新社

いま大注目の「心理的安全性」を取り入れるなら、本書の言葉から いつものひと言を変えることで……会話が増える! チャレンジが始まる! チームが変わる! 「言い換え」でわかりやすくお伝えします! ×じゃあ任せ…

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