テクニカル分析の手法は数え切れないくらい存在!?
テクニカル分析の全体像と重要な3つのテクニカル分析について解説します。まずテクニカル分析の全体像についてですが、テクニカル分析の名前や種類は、様々に数値を入れ替えたり、利用者独自の改良を加えたりしたものなどを入れると、実は数えきれないくらいたくさんあります。
また、大きく分類すると以下のような種類になります。トレンド分析、オシレーター分析、フォーメーション分析、ローソク足分析、出来高分析、サイクル分析、その他のテクニカル分析などです(『日本テクニカル分析大全』日本テクニカルアナリスト協会編・日本経済新聞社)。
連載第4回のトヨタ自動車の例で紹介したように、業績と連動したり、しなかったりする株価の方向を探るためのものです。また、東京急行電鉄のようなケースで売買判断を行うときも同様にトレンド分析を使う必要があります。
オシレーター分析は、住友不動産の例で取り上げた売買タイミングになります。
フォーメーション分析は、住友不動産の例で示したように、トレンドが転換するポイントを見つけるときや、ソニーの例で紹介した月足などの長期チャートでも株価が天井をつけたあと反落するなど、いわゆる株価が天井や底をつけたときに加え、現在の株価の状態を教えてくれる分析手法になります。
ローソク足ですが、これは株価の推移を表している基本中の基本の値動きを表すもので、このローソク足の色や、複数のローソク足の組み合わせに加え、どの水準でどのような形が形成されたかを知ることによって、次に予想される値動きなどがわかるようになります。
出来高分析とは、個別株毎に売買が増えたり、減ったりすることがありますが、この増減を捉えて売買判断に結びつけようといったものになります。
[図表]主な分析法とテクニカル指標名
中級者〜上級者は「サイクル分析」の利用者も多い
ここまでは初心者にもわかりやすくて、すぐに理解できると同時に活用も容易なテクニカル指標で、本連載ではここまでの内容を詳しくお話ししていきます。中級者以上になりますと、サイクル分析やその他のテクニカル分析を利用する人もいます。
たとえば、サイクル分析は、株価が高値をつけたり、安値をつけたりする周期を研究するものです。
これは、もともと経済循環のサイクルをテクニカル分析に応用しようとしたもので、短期的な分析もありますが、比較的長い期間の分析に用いられることが多く、中長期の投資のタイミングを計ったり、売りのタイミングを計ったりと、大きな景気の流れのなかで高値圏や安値圏を見抜けるとされており、1987年のブラックマンデーをその数十年前にいい当てていたのが有名です。
その他のテクニカル分析では、日本で生まれて世界的に有名となった一目均衡表や、外国人投資家がよく使っているポイントアンドフィギュア、またNYダウで有名なダウ理論や株価の波(波動)を分析することで、株価が高値や安値をつける時期に加え、いくらまで上昇するのかといった予想株価まで導き出そうとするエリオット波動理論などがあります。
ただし、これら全てのテクニカル分析手法をマスターするには、ある程度の経験や分析力が必要になることに加え、テクニカルアナリストの裁量部分が多くなってしまうこともあり、今回説明することは避けました。
本書で取り上げるのは、トレンド分析、オシレーター分析、フォーメーション分析の3つです。この3つのテクニカル分析手法は、裁量部分が極力抑えられ、客観的に判断できるようになっていることから、初心者でも迷わず使える優れものです。
それぞれのテクニカル分析が教えてくれることと、関連するテクニカル指標名を記載しておきますので、まずご覧ください。