「退職金」って、減ってるの?
「退職金額の推移」によると、退職金制度を実施している企業は80.5%。従業員1000人以上の企業であれば92.3%が実施している一方、30〜99人までの企業では77.6%と減っています。
退職金の金額も減少傾向です。大学卒の場合、1997年には平均で2871万円あった退職金が、20年後の2017年には1788万円と、約1080万円も減っています。高校卒の場合でも、近年の退職金が減少しています。
一方、公務員は法律で退職金の支払いが規定されています。とはいえ、こちらも金額は不安定です。たとえば、国家公務員の場合、2015年度には約2181万円あった退職金が、2018年度まで約4年かけて、約2068万円に減少しています。2020年度にかけ多少持ち直しているものの、民間に合わせて再び減少することも十分に考えられます。
2019年に「老後資金は2000万円不足する」と話題になりました。その老後資金も、退職金に頼ることはできなくなってくると考えられます。
★会社員・公務員の退職金額は減少傾向
POINT:一般企業の退職金額の推移
20年で約1,080万円減っている
POINT:公務員の退職金額の推移(国家公務員)
4年で100万円近く減っている
「預貯金でお金を貯めるだけ」ではダメ?
コツコツ預貯金で貯蓄すれば大丈夫だと思われる方もいるかもしれません。しかし、物価が上がり、お金の価値が下がるインフレ(インフレーション)が起こると、お金の価値は目減りしてしまいます。
物価はじわじわと時間をかけて上昇しています。1992年時点、1キロあたり204円の小麦粉は、2012年には226円、2022年には307円と値上がり。このようにお金の価値は下がってきました。
たとえば、1個100円のりんごがあるとします。これが、インフレによって年1%値上がりした場合、5年後には105円になる計算です。しかし、貯金箱の100円は、5年後も100円のままですから、りんごは買えなくなります。お金を銀行に預けても年0.001%しか利息がつかないため、お金は増えず、りんごは買えなくなってしまいます。
インフレによるお金の目減りを防ぐには、物価上昇率以上に資産を増やす必要があります。もちろん、預貯金には元本変動がなく、すぐに引き出せるメリットもありますが、お金を増やすには、預貯金に加えて、投資が欠かせません。
★物価上昇はじわじわ起こる
POINT:30年前と今の物価の違い
《小麦粉1kg》
1992年 …204円
2012年6月…226円(↑)
2022年6月…307円(↑)
《コーヒー1杯(喫茶店)》
1992年 …390円
2012年6月…427円(↑)
2022年6月…511円(↑)
《洗濯代(Yシャツ1枚)》
1992年 …232円
2012年6月…223円(↓)
2022年6月…249円(↑)
POINT:インフレ時代では預貯金だけだとお金が減る
《物価》 インフレ率1%:5年後→100円の商品が105円に!
《貯金》 金利年0.001%:5年後→100円の貯金は100円のまま!
頼藤 太希
株式会社 Money & You 代表
高山 一恵
株式会社 Money & You 取締役