約30億円援助の使い道は「感染症対策」
9月22日、ニューデリーにて、ヴェツォプ・ナムギャル駐日ブータン王国特命全権大使と鈴木哲駐ブータン王国日本国特命全権大使が、王立感染症センター建設プロジェクトのための交換公文に調印した。このプロジェクトでは、ブータンに最先端の感染症センターを建設するために、日本政府がブータン王国政府に対して29億9,400万円の無償資金協力を行う。
新型コロナウイルスの大流行が示すように、感染症は世界中で深刻な公衆衛生上の問題をもたらし、人々の生活に多面的な影響を及ぼしている。結核のようなよく知られた感染症が広がり続けていた一方で、より深刻な新しい感染症が出現し、それらを制御するための効果的な最善策がいまもなお必要とされている。
王立感染症センターは、ブータンにおける感染症対策のために、複数の役割を果たすことになる。このセンターは、ブータンにおける感染症の予防、治療、制御のために活用されることとなる。また、感染症管理のための全国的な紹介センターとして、ブータン国内の病院と連携していく予定だ。
さらにこのセンターは、感染症専門家を育成するための教育病院でもある。微生物学、分子生物学、免疫学の臨床研究を支援し、効果的な政策介入のための科学的根拠を提示する予定だ。
調印式では、V・ナムギャル大使が日本政府のプロジェクト支援に謝辞を述べた。また、ブータンでは感染症が公衆衛生を脅かしていることから、感染症センターの設立は優先事項であるとも述べた。
「王立感染症センターはブータンの医療システムにおける重要なギャップを埋め、感染症の予防、制御、排除における国家的能力を向上させるだろう」(V・ナムギャル大使)
鈴木大使は、「ブータンへの約30億円の無償資金協力は、日本政府による近年の支援プロジェクトの中でも最大級のものである」と述べた。「完成したセンターがブータンの感染症関連の医療開発の中核となり、このセンターが末永くブータンの人々に恩恵を与え、同国の医療サービス環境の向上に寄与することを期待する」(鈴木大使)
また、V・ナムギャル大使は、ブータンの社会経済発展に対する長年にわたる日本政府および日本国民の確固たる寛大な支援と、今後の継続的な支援の確約に対して、ブータン王国政府およびブータン国民から深い感謝の念を伝えた。
日本政府は、農業、通信、農村電化、橋の建設、学校の建設、消防車、警察のパトカー、圧縮機トラック、救急車、医療機器や農業機械の提供など、さまざまな分野でブータンに惜しみない支援を行っている。また、ブータン王国政府は日本政府から、新型コロナウイルスの蔓延対策や政府の経済復興に向けた支援など、惜しみない協力を受けている。
これまで日本政府が支援してきた他のプロジェクトと同様、このプロジェクトもブータンと日本の友好、理解、協力の素晴らしい絆をさらに強めるものとなるだろう。